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講義No.07105

微生物が、有益な物質の生産工場になる!?

油をつくる微生物

 微生物の中には特殊な能力を持つ種がいます。モルティエレラはカビの一種ですが、体内で油をつくり貯蔵する能力を持っています。その油とはアラキドン酸という脂肪酸です。これは脳の働きに欠かせない栄養成分で、赤ちゃんのミルクへの配合が推奨され、高齢者の脳の働きを高める効果も期待されています。
 グルコースなどを栄養源とするモルティエレラは、体内でアラキドン酸を球状の袋に溜めています。自分のエネルギー源として貯蔵していると考えられていますが、アラキドン酸がなくても生きていけるので、なぜ溜めているのかは今後の研究に委ねられています。

低温でも生きていける

 土の中に生息しているモルティエレラを、多くの微生物の中から探し出すのは難しくありません。低温に強いので、冷蔵庫のような4℃ぐらいの環境に1カ月ぐらい放置しておけば、ほかの微生物は低温では活動できずに休眠状態になってしまい、モルティエレラだけが菌糸を伸ばして生育していきます。低温でも生きていけるのは体内の油成分が効果を発揮しているのかもしれませんが、詳しいことはまだ解明されていません。

微生物の可能性は、まだまだ未知数

 モルティエレラに薬剤処理を施して遺伝子変異させれば、アラキドン酸以外の脂肪酸をつくり出すことも確認されています。魚に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)は頭脳の活性化に効果があると言われていますが、モルティエレラもこのエイコサペンタエン酸を生み出す能力があるのです。海洋性の微生物がエイコサペンタエン酸をつくり出すことがわかっていますが、陸上のどこにでもいるモルティエレラから採取できれば、生産性は大幅に向上します。
 モルティエレラの特殊能力が注目されたのは、1980年代になってからです。現在の研究では、培養できる微生物は微生物全体の10%にも達していません。まだ人間がその能力に気づいていない微生物がたくさんいて、その有効活用の可能性に大きな期待が集まっているのです。

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この学問が向いているかも 応用微生物学

徳島大学
生物資源産業学部 生物資源産業学科 教授
櫻谷 英治 先生

メッセージ

 微生物に関する研究をしています。土の中や海の中の微生物には、いろいろな種類があります。私の研究は、人間の体にいい油をつくる微生物の探索や発酵生産です。発酵というとお酒のイメージが強いと思いますが、微生物が何か化合物をつくること自体が発酵です。私は機能性のある油、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)に匹敵する油を、微生物でつくろうとしています。微生物を使ったものづくりに興味が湧くようなら、ぜひ徳島大学に来てください。

先生の学問へのきっかけ

 大学では発酵に関わる研究をしていて、毎日、ひたすら微生物を変異させる単純作業を行っていました。変異の結果は簡単な分析を行うことでわかるのですが、ほとんどが何も変化がない中に、ほかとは違うものがありました。まるで宝探しのようで、それを見つけるのがとても楽しかったのを覚えています。そんな楽しさを経験したことから研究を続けていきたいと感じました。最初の印象がよかったので、苦しいこともありましたが現在でも微生物の研究を続けています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社研究員/食品会社研究開発/製薬会社研究員

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櫻谷 英治 先生がいらっしゃる
徳島大学に関心を持ったら

 徳島大学は有為な人材の育成と学術研究を推進することにより、人類の福祉と文化の向上に資するため、自主・自律の精神に基づき、真理の探究と知の創造に努め、卓越した学術及び文化を継承し、世界に開かれた大学として豊かで健全な未来社会の実現に貢献することを理念としています。豊かな緑、澄み切った水、爽やかな風、温暖な気候に恵まれた徳島の地にあって、「知を創り、地域に生き、世界に羽ばたく徳島大学」として、発展を目指しています。

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