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講義No.07076

次世代エネルギー「水素」の究極の作り方

持続可能な社会に水素が必要不可欠なわけ

 温室効果ガスが増え、地球の気温が上昇しています。自然界のバランスが崩壊し、異常気象による災害も深刻さの度合いを増すばかりです。地球温暖化を食い止めることに猶予のない現状ですが、安定したエネルギーがなければ私たちの生活が成り立たないのも事実です。そこで今、エネルギー資源として注目を集めているのが水素です。燃やしても二酸化炭素も、大気汚染の原因となる有害物質も排出しません。
 燃料電池というシステムで電気エネルギーを取り出したあと、水素は水に返るだけなので、新エネルギーの切り札として期待が高まっているのです。燃料電池は、二酸化炭素を排出するガソリンエンジンに代わるものとして、自動車への利用が推進され開発が急がれています。

水素はどうやって作られる?

 水素は石油や石炭のような埋蔵資源ではありません。さまざまな方法で作り出すことができます。現在は天然ガスや石油などの化石燃料から取り出す方法が主流です。クリーンな水素ですが、その製造過程では二酸化炭素が排出されていることになります。
 燃料電池の原理は水素と酸素を反応させて電気を取り出すことですが、逆に、電気を使えば水から水素と酸素を取り出せます。後者は水の電気分解に相当しますが、その時に使う電力は今も化石燃料に頼っているのが実情です。このように、水を分解するには外部エネルギーの投入が不可欠ですが、その際にクリーンなエネルギーが使えれば、二酸化炭素を排出しない理想的な水素の製造方法が確立できます。

植物がお手本の人工光合成技術

 水素が本当の意味でのクリーンエネルギーとなるための研究が今、進んでいます。最も有効と考えられているのは太陽光と水を用いて、水素を作り出す、人工光合成(=水の光分解)という技術です。この技術は、植物の光合成システムがお手本となります。植物たちは葉緑体を光触媒として光合成を行っていますが、太陽エネルギーを十分に活用して水素を作るための光触媒の開発が、大きな課題となっています。


この学問が向いているかも エネルギー化学

弘前大学
理工学部 物質創成化学科 教授
阿部 敏之 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 学問にはいろいろな考え方があっていいし、そうあるべきだと思います。学問領域のすそ野も広がるし、その学問がいい方向に進む可能性が高まるからです。そうした多様な考え方にも柔軟に向き合っていくための基礎は、高校時代の勉強にあると思います。基礎がしっかりしていないと大学の勉強も楽しくないし、学生生活そのものも楽しめなくなってしまいます。英語もきちんと学んできてください。今後ますます顕著になるであろう、グローバル社会で活躍するには、英語は必須です。

先生の学問へのきっかけ

 受験勉強に取り組むうちに化学が好きになったことが、今の研究の道に進むはじめの一歩でした。
 「水素」は、クリーンエネルギーとして世界中で注目されています。水素は水の電気分解により作ることができますが、私は必要となる電力も、クリーンエネルギーである太陽光エネルギーを使うことで、究極の水素を作り出すための研究を続けてきました。自然界の植物の素晴らしいシステムである光合成をお手本にして、太陽光を取り込み、「人工光合成」を促すための光触媒となる材料の開発など、人工光合成の技術を開発したいと考えています。

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阿部 敏之 先生がいらっしゃる
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 弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
 この総合大学という特性を生かして、本学では教養教育と専門基礎教育を重視した教育を行い、これからの社会に対応できる人材を育成することを目的としています。
 本学の学生は、歴史と伝統のある文化の香り高い弘前市で学びながら、地域の自治体や企業などと連携し、さまざまな活動に積極的に参加しています。

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