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講義No.07060

国際紛争を理解するには、歴史を知るべし

歴史に翻弄されたウクライナ

 ウクライナは、旧ソ連を構成した共和国のひとつで、ソ連の崩壊で独立国家となりました。近年、東部地域の分離独立問題で世界から注目を集めるようになりましたが、ひとつの国の中でこうした争いがなぜ起きるのか、理解できない日本人は多いでしょう。
 1917年のロシア帝国の崩壊でウクライナ共和国が誕生したのですが、それ以前には、「ウクライナ」という国は存在していませんでした。しかも当時のウクライナ共和国は、現在の西部地域が含まれていませんでした。西部はポーランド・リトアニア共和国、その後オーストリア帝国に支配され、第一次世界大戦後はポーランド共和国の領土でした。ソ連に併合されたのが1939年で、ほかの地域より20年以上後のことなのです。つまり、現在のウクライナ共和国は、ひとつの国でありながら、地域によって全く異なる歴史や文化を持っているのです。

言語や宗教のアイデンティティは重なり合っていた

 旧ソ連を構成する15の共和国の枠組みは、ウクライナと同様、ソ連時代に作り出されたものです。例えば、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの中央アジアの5カ国の国境線は、1924年前後に大論争の末に引かれ、1936年に確定したものです。それ以前には、カザフ人、キルギス人といった概念は一般的ではありませんでした。国家という概念以外に人々のアイデンティティの拠りどころとなっていたのは、言語や宗教など、さまざまな要素ですが、それらは複雑に重なり合っているため、国民国家のような明確な区分けはなかったのです。

国境や国家の枠組みは不変ではない

 旧ソ連の構成国に限らず、現在国家として存在している多くの国の枠組みは不変ではなく、また、それぞれの国や地域の歴史的な経緯が、現在、世界で起きているさまざまな問題と深く関わり合っていることも少なくありません。したがって、世界の諸問題を理解するためには、現在だけではなく、歴史的な流れを理解することがとても重要なのです。


この学問が向いているかも 国際社会学、国際関係論

東京外国語大学
国際社会学部 国際社会学科 教授
鈴木 義一 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 東京外国語大学では、27の言語を専攻言語としていますが、言語だけを学ぶのではありません。国際社会学部では、世界全体を14の地域に区分し、国際関係論やそれぞれの地域の政治・経済・社会についても学びます。
 本学の学生の約3割は長期留学をします。短期を含めると約7割が留学を経験します。さまざまな地域の言語や社会を学ぶことで、その地域を理解するだけでなく、日本についても新しい視点で見ることができるようになります。ですから、ぜひ本学で、私たちと一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 1980年代の日本では、ソ連とは貧しい消費生活で独裁政治の怖い国というのが一般的な理解でした。他方で、社会主義は理想社会だと考える人もいました。ソ連の人々が実際に何を考え、どんな行動をしているのかを知りたいと思ったことが、ソ連を研究対象とするきっかけです。大学院在学中のソ連末期には留学してソ連社会の実際の姿を見ることができました。ソ連社会には独特な価値観とルールがありましたが、人々の行動には意外に日本との共通性も見られ、20世紀という時代の大きな特徴を理解する鍵を与えてくれたように思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

マスコミ記者/マスコミ制作/商社営業/製造業営業/広告会社営業

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鈴木 義一 先生がいらっしゃる
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 東京外国語大学は、「言語学」「言語教育学」「文学」「歴史学」「哲学・思想」「文化人類学」「社会学」「政治学」「経済学」など様々な学問分野の優れた専門家が協働し、世界のほぼ全ての地域について教育と研究にあたっています。
 本学は、学際性と総合性を極めて密度の高い形で実現しており、教育と研究の両面においてこの独自性を最大限に発揮し、地球社会化時代の未来を拓く教育研究の拠点大学を目指しています。

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