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講義No.07037

世界で初めて見つかったミクロの管の中の不思議な現象

髪の毛より細い管の中で起こること

 ミクロの世界では、常識では考えられないような出来事が起こります。日本の研究者が発見した「管径方向分配現象」も、その一つです。直径50~100ミクロン(0.05~0.1mm)程度と髪の毛より細い管に、ある種の溶液を流すと起こる現象です。
 ミクロの管を流れる溶液に一定の圧力をかけたり温度を変化させると、溶液が管内の中心部とその外側に同心円上に分離し、2つの流れに分かれるのです。その結果、内側の流れと外側の流れの間に、水と油を一緒にしたときのような界面が生まれます。圧力や温度を変えるだけで流れる溶液が二相に分離する現象です。同じ溶液をより太い管に流した場合は、分離しません。分離現象が起こるのは、ミクロ管の中だけなのです。

生命の秘密を解き明かすカギになる可能性も

 この現象の原理を解明する研究が進められています。この研究は、より大きなテーマにつながる可能性があります。なぜなら、管径方向分配現象が起こるようなミクロの管が、世界には無数にあるからです。例えば、人間を含む動物には毛細血管があり、植物の道管もミクロン単位の細さです。毛細血管の中を流れる血液や、道管を流れる液体は、中で分離している可能性があります。管径方向分配現象が生命の秘密を解き明かすかもしれません。

画期的な新薬開発への夢も

 また、管径方向分配現象は、実生活へのさまざまな活用法が考えられます。一例が医療分野での活用です。
 血管内の内側と外側に異なる薬剤を流し、薬剤が患部に達した時点で、両薬剤を界面で反応させます。すると患部だけで薬効成分を発揮する薬を開発できます。また、血管の壁面部だけに作用する溶液を流せば、内壁のコレステロールを洗い流すシステムを開発できるかもしれません。
 応用範囲の極めて広いことが、管径方向分配現象の特長です。この現象を活用することで、画期的な発明も期待できるのです。


この学問が向いているかも 分析化学、流体力学

同志社大学
理工学部 化学システム創成工学科 教授
塚越 一彦 先生

メッセージ

 まだ誰もやっていない研究に挑戦する、そんな世界的な研究者をめざすなら、普段から「疑問のポケット」を用意しておきましょう。何か疑問に思うこと、少しでも不思議だと感じることがあれば、すべてそこに入れておくのです。そして時々、ポケットから出して考えてみる。答えが出なければ、再びポケットにしまう。考える練習を繰り返していれば、自然に思考力が身につきます。また思考力を養うには、棒暗記しないことも大切です。むやみに覚えるのではなく、考えて理解したことを頭の中に残すようにしましょう。

先生の学問へのきっかけ

 学生のときの恩師とのエピソードですが、ある実験をやることになり、過去の論文から結果報告をしたところ、「論文に書いてあったとしても、実際にやってみないとわからないじゃないか」と先生に言われました。いかに過去の論文があったとしても、先生は、学生が行った実験結果のほうを評価してくれたのです。最終的には、自分でやってみた結果、それが本当の真実なのだろうなと感じます。先生の言葉は、学生だった私を勇気づけてくれて、その後、研究者の道を進む原動力となりました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

分析機器メーカー研究員/製薬メーカー品質管理/家電メーカー研究員/自動車メーカー研究員/プラント設計

大学アイコン
塚越 一彦 先生がいらっしゃる
同志社大学に関心を持ったら

 同志社の創立者新島襄は、1864年、日本の将来を憂い、国禁を犯して脱国、欧米で学び、帰国。そして、1875年、京都に前身となる同志社英学校を設立しました。現在、同志社大学の校地は2つあります。今出川校地は同志社大学の誕生の地であり、140年以上にわたる同志社の歴史を感じることができるキャンパスです。キャンパス内の5棟は国の重要文化財に指定されています。京田辺校地は緑豊かな自然に包まれ、79万m2という広大な敷地に最新の施設・設備を有し、現代建築の精緻さを誇る学舎が並んでいます。

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