夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

講義No.07015

言葉の問題を解決する「言語聴覚士」の役割

言葉に詰まりやすい「吃音」

 スラスラと滑らかに話せず、言葉の第一音が出にくい症状を「吃音(きつおん)」と言います。発症率は人口の5%で、大半の人が就学前に治りますが、残る人も1%ほどいて、日本に100万人以上います。吃音と向き合う会合も各地で数多く催されています。
 不適切な養育が原因ではないかと疑われた時期もありましたが、現在ではその説は否定されています。fMRI(機能的磁気共鳴映像法)の進化により、脳の働きに違いがあるらしいとわかってきていますが、断定できるだけの証拠はまだ明らかになっていません。声帯や神経筋との関係、あるいは性格特性など、さまざまな要因が影響し合っていると考えられています。

注目される「リッカムプログラム」

 吃音の改善のためには子どもが話すまでゆっくり待ち、親も話す速さをゆっくりと合わせるなど、子どもが話しやすい環境を作ることが有効です。しかしそれだけでは治らないケースも少なくなく、近年ではオーストラリアで開発された幼児向けの「リッカムプログラム」が注目されています。スラスラ話せたら褒め、言葉に詰まったら叱らず中立的に指摘することを1日15分、およそ5:1以上の割合で行います。まだ日本に導入されたばかりですが、効果が期待されています。

うまく話すための認知行動療法(心理療法)も

 合理性やコミュニケーション能力を求められることが多い昨今、うまく話せずに悩む「コミュニケーション障がい」の人は増えています。吃音を持つ成人の場合には話すテクニックを身につけることが有効です。ゆっくり、柔らかく言葉を切らずつなげるよう心掛けるとスムーズに話せることがあります。また物事の見方(心理面)を変えることも大事で、認知行動療法というのですが、ポジティブな意識づけを行うことでも話しやすくなります。例えばコップに水が半分入っているときに「もう半分しかない」ではなく、「まだ半分ある」と考えるようにします。こうした言葉に関するさまざまな問題を専門的に解決するのが言語聴覚士の役割なのです。

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この学問が向いているかも 言語聴覚障害学

新潟医療福祉大学
リハビリテーション学部 言語聴覚学科 講師
渡辺 時生 先生

メッセージ

 言語聴覚士の仕事は広い分野の学問が集まったもので、発音の際、第一音が出にくい「吃音(きつおん)」だけでなく、失語症や、聴こえの障がい、ものを飲み込みにくい嚥下(えんげ)障がい、言葉の発達や発音の障がいなど、さまざまなことを扱っています。言葉を話すことに困っている人を助けることにつながる、やりがいのある仕事です。研究分野としてはまだ解明されていないことが多く、未知の発見が眠っています。人間好きでフロンティア精神旺盛なあなたに、ぜひめざしてもらいたいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 幼少期に吃音があったこと、祖父が失語症のため会話ができなかったことがずっと気になっていました。そして、高校生の時に入院し、初めてリハビリテーションに接し興味を持ちました。文系・理系の枠を超えた学際的な学問(人間科学)を大学で学んだことも、言語聴覚士になることに大きな影響を与えました。
 医療技術というと理系の印象が強いかもしれませんが、文系の人も大歓迎です。コミュニケーションに苦手意識があっても、人間が好きならば言語聴覚士に向いていると思います。人の気持ちに共感することが大切なのだと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

医療(リハビリテーション科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、口腔外科、小児科など)、福祉、介護、学校(通級指導教室)、保健、研究所のスタッフなど

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渡辺 時生 先生がいらっしゃる
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 6学部13学科すべての学科で国家資格をはじめとした専門資格の取得に対応したカリキュラムを配置しています。また、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉の総合大学である利点を生かし、他学科の学生がチームを形成して学ぶ「連携教育」を導入し、関連職種への理解やコミュニケーション技法を身につけることで実践的な「チーム医療」を学びます。さらに、【スポーツ×リハビリ】【看護×福祉】など、学科コラボによる学びで、幅広い知識を修得します。

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