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講義No.06904

大気環境を解析し、予測するシミュレーション技術の開発

大気汚染物質は「どこから」やって来る?

 最近、「PM2.5の濃度が高くなっています」という話題がよく聞かれます。PM2.5とは大きさが2.5マイクロメートル以下の大気中に浮遊する汚染物質などの微粒子で、健康や生態系への悪影響が懸念されています。
 これらの物質がどこから来て、なぜ濃度が高くなるのかということをつきとめるための方法のひとつとして、「大気環境学」では数値シミュレーションを用いた解析・予測の研究が行われています。

より確かなシミュレーションをめざして

 福岡など九州地方にとっては、偏西風の風上にあたる北京や上海が大気汚染の原因物質の発生源であるという可能性は否めません。このように国外から汚染物質がやってくることを「越境汚染」と言います。排出された物質がそのまま飛んでくることもありますし、これらの物質が海洋上で化学反応を起こして、別の物質が生成されて運ばれてくるということも起こります。
 このモデルをコンピュータでプログラミングし、シミュレーションするのですが、シミュレーションというのは自然環境をまねたり予測したりしているものなので、不正確な部分があります。特に海洋上で起こっていることについてはデータが少ないので、陸域での観測データや人工衛星からのデータも使いながら、シミュレーションの精度を高める研究・開発が現在も進められています。

環境政策にも役立てる

 このような大気汚染のシミュレーションがより正確に行われるようになると、「いつどこで汚染濃度が高くなるか」という予測が可能になります。さらに、その予測を生かした環境政策への寄与も期待できます。例えば、排ガス規制をしようという場合、どこも一律に規制をするのではなく、どの地域のどの排出源(自動車や工場、野焼きなど)をどう抑制すれば効果的なのかというモデルを、これらのデータを基に提示し、役立てることもできるようになるのです。


この学問が向いているかも 大気環境学、環境シミュレーション学

神戸大学
海事科学部 海洋安全システム科学科 准教授
山地 一代 先生

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メッセージ

 「天気はなぜ変わるのかな?」「今日はPM2.5の数値が高いと言われているけど、なぜかな?」など、生活の中で、環境について疑問に思ったことを、「あたりまえ」だと思わずに探究心を持って調べてもらいたいと思います。
 たとえその時に解決しなくても、疑問の「芽」をたくさん持って大学に来てください。海事科学部には、環境学、気象学、大気海洋学など、海洋に関するさまざまな専門の先生がいますので、海洋や大気、自然環境について一緒に学び、研究していきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 小さな頃から自然が好きで、理科の先生になりたいと思いっていました。大学受験の小論文のテーマが、オゾン層の破壊など環境問題に関するもので、「これからは地球環境を考えていかなければならない」と思うようになりました。
 気象学を研究する中で、気候変動に興味を持ち、野外観測を中心とした研究に携わりました。さらに、オキシダントやPM2.5問題の解決をめざし、シミュレーション研究に携わり、現在の海洋での大気環境学の研究へとつながりました。子どもの頃の自然環境への興味が、研究につながったのです。

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山地 一代 先生がいらっしゃる
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 また、神戸大学では、人文・人間系、社会系、自然系、生命・医学系のいずれの学術分野においても世界トップレベルの学術研究を推進すると共に、世界に開かれた国際都市神戸に立地する大学として、 国際的で先端的な研究・教育の拠点になることを目指します。

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