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講義No.06742

後世の物語との比較でわかる『源氏物語』の魅力

中世の物語は『源氏物語』のパクリ?

 源氏物語が書かれた後も、名前もわからない作者たちの手によって、物語はずっと書き綴られてきました。中でも平安後期の三大物語と言われる『狭衣(さごろも)物語』『夜の寝覚(ねざめ)』『浜松中納言物語』は、『源氏物語』の影響を受けつつも、オリジナルの要素も加わった完成度の高い作品となっています。しかし、鎌倉時代から室町時代に書かれたとされる二十数編の物語は、『源氏物語』の影響を受けているという点では同じですが、文章を丸写ししていたり、内容を誤解してまとめていたりと、作品としてのレベルはかなり劣っています。

昔の人も物語の続きが読みたかった

 このような後世の物語と比較することで、『源氏物語』の魅力は一層明らかになります。当時、『源氏物語』ほど完成度が高く、すぐれた作品は存在しなかったのです。その一方で、後世の人たちが『源氏物語』をどのように見ていたのかもわかります。中世の作品の中には勝手に『源氏物語』の続編を書いたものもありますが、中途半端に終わる物語の続きを、当時の人も読みたかったのでしょう。時代が離れていくにつれて梗概(こうがい=ダイジェスト)本が読まれるようになったことも、『源氏物語』の内容が誤って理解された要因と考えられます。現在でも、漫画や映画で『源氏物語』が原文とは違う解釈で描かれていることがありますが、当時から同じようなことが起こっていたのです。

人は自分の物語を書かずにはいられない

 『源氏物語』の本当のおもしろさは、原文の中にあります。時代を超えて、ここまで愛されてきた理由は、恋愛や政治、雅(みやび)な世界だけでなく、必ずそこに人間の「心」の問題が絡んでいるからです。中世の物語には、『源氏物語』への愛や尊敬が溢れています。まさにファンが書いた同人誌のレベルですが、そこには、自分の物語を書かずにはいられない、人間の性(さが)が垣間見えます。それは、現代人がブログで私生活を公開する行為と通じているのかもしれません。

「猫」で読み解く『源氏物語』

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絵巻からわかる「猫」の生活

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源氏物語~なぜ「猫」だったのか~

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この学問が向いているかも 物語文学

清泉女子大学
文学部 日本語日本文学科 准教授
藤井 由紀子 先生

先生の著書
メッセージ

 清泉女子大学では『源氏物語』が2年生の必修科目になっていますので、入学すると全員が1年間で物語のあらすじがわかるようになります。授業の中で学生たちは、ヒロインに感情移入して涙を流したり、光源氏に腹を立てたり、あるいは原文と漫画の違いなどから、物語の奥深さを学んでいます。大学で『源氏物語』を勉強したい人は、高校生のうちから海外文学の名作など、あえて違うジャンルの文学に触れておくことをお勧めします。なぜなら、いろいろな作品と比較することで、あらためて『源氏物語』の偉大さが理解できるからです。

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藤井 由紀子 先生がいらっしゃる
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 清泉女子大学は、日本語日本文学科、英語英文学科、スペイン語スペイン文学科、文化史学科、地球市民学科の5学科で構成された文学部と、大学院人文科学研究科からなるキリスト教ヒューマニズムに基づく女子大学です。キャンパスは東京都品川区の島津山と呼ばれる閑静な住宅街にあり、すべての学生が4年間の大学生活をこの緑豊かな恵まれた環境の中で過ごすことができます。「まことの知・まことの愛」という教育理念のもと、少人数教育による人格的触れ合いを通して、自分で考え、決断することのできる女性を育成します。

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