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講義No.06730

「意識」はいつ生まれるのか

視覚と運動の関係

 私たちの脳は、目に見えたモノの位置や状況を理解した上で身体を動かしているかと言えば、そうではありません。危険を察知した時に、無意識に身体が反応することはよくあり、見た情報を認識するための処理と身体運動の発現・調節に使うための処理が脳内でパラレル(並列)に行われていることがわかっています。見て認識するには時間がかかり、それより早く身体を動かす必要があるのです。では、なぜ認識には時間がかかるのか? それは、目にしたさまざまな物体のイメージを脳内の神経活動によってつくる必要があるからであり、出来上がったイメージこそが「(視覚)意識」です。

モノが見える仕組み

 眼に入った光は網膜で電気信号に変換され、視神経を通って脳に伝えられます。脳内では視覚情報を処理する領域がたくさんあり、ニューロン(神経細胞)が電気信号を送受信し合います。ニューロンはまず視野の各部位の断片的な情報を処理し、それらが別のニューロンで組合(統合)されながら、知覚されるイメージがつくられていきます。この一連の情報処理が完了するまでには、100ミリ秒(0.1秒)以上かかります。つまり、モノを見てから意識が生まれるのは、100ミリ秒より後のことなのです。

「何かいる」と感じる理由

 これを証明する実験を紹介しましょう。被験者の前に置かれたモニターに、縞(しま)模様の円(円図形)を短い時間表示します。表示するものが円図形だけだと、何の問題もなく認識することができます。ところが最初に円図形を表示し、その100ミリ秒後に、円図形を取り囲むドーナツ状の図形を表示すると、ドーナツ図形は見えるのですが、円図形を見ることができません。「真ん中にも何かあった」という感覚は残るものの、縞模様は認識できないのです。これは、最初に見た物体のイメージが意識としてつくられる前に、別の情報によって邪魔されたことを意味します。しかし、物体の存在だけは脳に情報が伝達されています。「姿は見えないが、何かいるかも」と感じる理由はここにあるのです。


「あたま」と「からだ」の関係

この学問が向いているかも 神経科学

大阪大学
大学院医学系研究科  准教授
七五三木 聡 先生

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メッセージ

 高校までは答えのある問題を解ければよかったのですが、これからは違います。何を問題にするかを決めるのは自分です。当然、それに答えがあるかどうかもわかりません。決まった解き方もありません。問題に自分なりの答えを導き出し、自分なりに検証していくしかないのです。これは、人間が成長していくための重要なスキルですが、これを身につけるには、自分の枠組みにとらわれず、考え方や価値観が違う人と積極的に関わり、議論し、共に作業する経験が大切です。なぜなら、問いも答えも、自分の殻を破った「外の世界」にあるからです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教員/研究者/民間企業研究開発職(サンスターなど)/マーケティング、データ解析専門職 ほか

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七五三木 聡 先生がいらっしゃる
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 自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。

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