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講義No.06628

「スポーツ」は、社会の中でどんな意味を持っているのか?

スポーツの語源は、「働かないこと」?

 スポーツは、ラテン語のデポルターレが語源だと言われています。ポルターレは、荷物を運ぶポーターの語源でもあり「荷物を背負うこと」、つまり「労働」を意味します。「デ」は否定の意味の接頭語なので、デポルターレは「荷物を背負わないこと」、つまり「労働をしないこと」となり、それが転じて、「余暇や気晴らしを楽しむ」という意味になります。したがって、本来「スポーツ」は、身体を動かし、エネルギーを発散すること自体を純粋に楽しむものだったのです。

戦意高揚の手段としてのスポーツ

 身体的なエネルギーの発散ということ以外、特別意味を持たなかったスポーツですが、意味がなかったがゆえに、長い歴史の中で、いろいろな意味付けをされるようになりました。
 例えば、対戦型のスポーツは、敵と味方に分かれて戦うということを通じて、仲間に対する親和性を育むと同時に、相手に対する敵対心も醸成するという役割を担うようになりました。学校行事としておなじみの運動会は、紅白対抗戦が基本ですが、そこにも同様の考え方が反映されています。
 スポーツは、政治的なプロパガンダとして利用される側面もあります。その典型が1936年に行われたベルリンオリンピックで、ヒトラーがアーリア民族の優秀性と自分自身の権力を世界中に見せつける機会として利用したことは、広く知られています。

認知症予防としてのスポーツ

 一方、身体を動かしてエネルギーを発散するというスポーツ本来の意味も失われていません。最近では、身体の健康だけでなく、脳の活性化の面からもスポーツが注目されています。身体を動かすことで、脳の血行も促進されることから、脳梗塞や認知症などの予防にもつながるという研究結果が報告されています。
 このように一口に「スポーツ」といっても、その見方には、社会人類学的、生理学的などさまざまな切り口があり、どのような観点からアプローチするかで、見えてくるものも異なるのです。

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この学問が向いているかも 教育学

横浜国立大学
教育学部 学校教育課程 教授
海老原 修 先生

メッセージ

 スポーツというと、甲子園、オリンピック、運動会などを思い浮かべる人もいるでしょう。運動が得意だからスポーツに興味があるという人や、逆に運動が苦手だからスポーツには興味がないという人もいるでしょう。スポーツは、もともと身体を動かしてエネルギーを発散させるということでしたが、時代とともに別の意味づけがなされるようになりました。そうしたことを学び、スポーツが社会の中でどのような役割を果たしてきたかを知ることを通じ、多角的な視点を身につけてください。

先生の学問へのきっかけ

 スポーツが好きだったので、運動について学び、学校の先生になりたいと思い、大学でスポーツを専攻しました。しかし、大学院でカルチャーショックを受けました。「自分がなぜ運動が不得意なのかを知りたくて、運動について研究している」という人に出会ったのです。この経験から、世の中には同じものを見ても違う見方をする人がいるということを学びました。あらゆる方面からスポーツを見ることは、「スポーツが社会の中でどのような役割を果たしてきたか」、また、「スポーツにはどんな可能性があるか」を知ることにつながります。

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 横浜国立大学は、高い国際性と実践的な学問を尊重し、社会に開かれた大学をめざします。全学部の学生がひとつのキャンパスで学び、学部の垣根を越えた交流ができ、国立大学には数少ない経営学部も置かれています。新しい潮流を起こして21世紀の人類社会に貢献できるよう、社会からの要請を的確に把握し、国民から委ねられた資源を有効に活用しつつその活動を開放し、社会の期待に応えます。

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