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講義No.06500

ナノテクノロジーにも役立つ液体金属の構造研究

液体が沸騰しなくなる臨界温度とは

 金属には電気が通じるという性質があります。ところで、金属も水と同じように高温高圧にすると膨張して気体になりますが、気体になると絶縁体になります。こうなると非金属です。
 では、金属から非金属になる(転移する)境目はどういう状態なのでしょうか。物質は、ある一定の圧力・温度に達して、液体と気体の密度が同じになると沸騰がおきなくなります。この温度を「臨界温度」と言います。金属の中で最も臨界温度が低い水銀の場合、1600気圧以上、1478℃が臨界温度です。この境目では、液体と気体がせめぎ合って大きく揺らいでいます。

問題は金属が絶縁体になる時の原子構造

 物質が金属から非金属に転移する境目は、臨界温度の近くにあると考えることができます。問題は、その時の原子構造です。金属では、原子が電子を放出してイオンと電子に分かれています。この電子が自由に動き回ることで電気が通じます。気体になると、イオンと電子が結合するため絶縁体になるのです。
 気体は絶縁体なので、液体の側に中間の状態があることが予測されます。原子の構造を明らかにするには、上のようなイオンと電子の関係だけでなく、液体金属のイオンの動きを調べる必要があります。

ナノテクノロジーの技術発展に寄与する研究

 実は、液体中のイオンはお互い無関係に動いているわけではなく、周りのイオンが動いてできた隙間を使いながら移動します。このようなイオンの集団運動により、イオンが密に集まった部分と疎になった部分が交互に現れるため、イオン間距離程度の波長をもつ音波が現れます。この音波を研究することにより、イオン間にはたらく力や電子が及ぼす影響について調べることができます。
 この研究はナノテクノロジーに関係しています。ナノテクノロジーで物質の機能をデザインするためには原子やイオンにはたらく力をもっと理解する必要があります。また液体中のイオンの動きがわかれば、液体から機能的な結晶を成長させる時にとても役に立ちます。


この学問が向いているかも 環境自然科学

広島大学
総合科学部 総合科学科 自然探究領域 教授
乾 雅祝 先生

メッセージ

 高校までの学習と大学での学びはスタイルがまったく異なります。しかし、高校までに学んだことを正しく理解して記憶しておくことは、大学での学びをスムーズに行うためにはとても重要です。
 将来、理学や工学の分野を専門的に学びたいと思っている人は、高校数学の公式を暗記するのではなく、公式が導かれる過程をよく理解して、自分で公式を導けるようになってください。数学は自然を表すために生まれた万国共通の「ことば」です。ニュートンの時代には、数学と物理は明確に分かれていませんでした。

先生の学問へのきっかけ

 幼稚園の卒園文集に将来は大工さんになりたいと書いたように、小さな頃から物を作ることが好きでした。小学生の時には、工作をしながら科学のいろいろな現象を紹介するテレビ番組を見て、物理や化学に興味を持ちました。しかし、高校で共有結合やイオン結合について学んだ時、金属はどのような仕組みで原子がばらばらにならずに結合しているのか、教科書の説明では全く理解できず疑問に思っていました。
 そして大学の専門課程で物理学を学んでいた時、高校時代の疑問を思い出して液体金属の研究室に入り研究を続けました。

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乾 雅祝 先生がいらっしゃる
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 広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、11研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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