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講義No.06398

「植物のお医者さん」になるために学ぶ植物医科学とは

植物も病気にかかる

 気づきにくいことですが、植物も動物と同じように病気にかかります。地球全体の農作物で、病気による被害の大きさをみると、収穫量の3~4割が失われていると考えられています。
 当然病気を防いだり治療したりするための研究は昔から行われていましたが、ウイルスはウイルスの専門、菌類は菌類の専門と、あまりにも細分化しすぎてしまいました。そして農業の現場でも、農家に指導する農業普及員という制度があるものの、近年増え続ける病気に対応しきれないという問題がありました。
 そこで、総合横断的に植物の病気を扱う分野が必要だと考えられ、できたのが「植物医科学」という分野です。

梅を守るために

 例えば、ウメやプラムに感染するウイルスに「プラムポックスウイルス(PPV)」があります。これはもともと日本にはなかったウイルスで、このウイルスにかかると葉や実に斑点や輪紋が出て商品価値が落ちてしまいます。ヨーロッパではプラムやモモに感染し大きな損害を出している病気です。
 入ってきた経路は不明ですが、この病気が2009年、国内で初めて、梅で有名な東京都青梅市で見つかりました。
 ウイルス病にかかった植物は伐採するしかありません。また、農林水産省が省令を公布したこともあり、2009年から青梅市の農家や梅林のウイルス感染した梅はすべて伐採しています。3年間感染が見つからなければ再び梅の木を植えることができるので、梅の里を復活させるためにも、早い伐採が必要になるのです。この思い切った処置にも植物医科学は大きな役割を果たしています。

文理融合の分野

 植物医科学はサイエンスとしての側面が大きい分野ですが、これを実社会で役立てるためには法律や制度、経済、政策論など文系の分野も深く学ぶことが必要です。活躍の場としては公務員や種苗会社、農薬会社などの農業関連はもちろん、食品業界や環境緑化ビジネスなど幅広く考えられます。まだ歴史の浅い学問ですが、人類の未来に役立つ学問として、植物医科学はこれからますます注目されるでしょう。


この学問が向いているかも 植物医科学、植物病理学、植物ウイルス学

法政大学
生命科学部 応用植物科学科 講師
鍵和田 聡 先生

先生の著書
メッセージ

 法政大学応用植物科学科は、従来あった植物医科学専修が発展改組して新たにできた学科です。植物は食糧、エネルギー、環境といった点で私たちの生活になくてはならない存在です。しかし、植物もカビやウイルスなどが原因で病気にかかります。これを放っておくと最悪の場合枯れてしまいかねません。この植物病の診断・防除・治療をするのが植物医科学で、これを行う人のことを私たちは「植物のお医者さん」だと考えています。興味のある人は私たちと一緒に学び、植物の健康を守りましょう。

先生の学問へのきっかけ

 2000年に東大農学部を卒業し、大学院での研究活動を経て、2008年から法政大学で研究を行っています。植物に興味を抱くようになったのは、中学の時の理科の先生に聞いた話がきっかけでした。それは、植物が食物連鎖にどれほど大きな役割を果たしているかという話で、そのとき、地球環境の循環に植物がいかに重要かを知り、とても感動したのです。その後、微生物にも興味をもつようになり、「植物医科学」という研究分野に進みました。現在は「植物のお医者さん」を育てることに情熱を傾けています。

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鍵和田 聡 先生がいらっしゃる
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 法政大学は、都内に3つのキャンパスを展開し、人文科学・社会科学・自然科学の領域で15学部38学科、15研究科・3インスティテュートを擁する総合大学です。「自由と進歩」「進取の気象」という建学の理念に基づき、130 年を超える歴史と伝統を持ちながらも、絶えず時代のニーズに応える挑戦を続けています。学生一人一人が将来を見据えてキャリアをデザインしていける自立型人 間になるよう、法政大学は人材の多様性や個性を大切にし、高度なレベルの教育・環境・設備を用意しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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