夢ナビ夢ナビは、さまざまな言葉をデータベースから検索・閲覧し、将来の進路を決める“きっかけ”を提供します。

検索結果一覧へ戻る

講義No.06252

性を持たない生物が、オスやメスに変身!?

刻まれても自力で再生するプラナリア

 プラナリアという生物を知っていますか? 世界から注目を集めているiPS細胞のような分化万能性幹細胞をもともと体内に持っており、細かく切っても自力で再生する能力があることで知られています。さらに、プラナリアは子孫を残すための巧みな戦略を持ったユニークな生物でもあります。

オス・メスの区別がなく単体で繁殖する無性生殖

 哺乳類にはオスとメスがいて、同種二個体間で遺伝子を混合して、子孫を残します。これを有性生殖といいますが、病気や自然環境の悪化などがあっても、遺伝子のバリエーションをたくさん作り出すことで、生き残る確率が高くなるわけです。一方、世の中には性を持たない生物もいます。プラナリアやヒドラなどにオスとメスの区別はなく、ある時期がくると自分で体をちぎって個体数を増やしていきます。これが無性生殖です。
 無性生殖は、条件がよければ、どんどん個体数を増やして繁殖することができますが、同じ個体から分化しているだけですから、遺伝子は変わりません。そのため環境の変化に対して大きく影響を受けます。また、有性生殖には、外界からダメージを受けた有害遺伝子をリセットするシステムがありますが、無性生殖はそれもできません。ですから、理論上では長いスパンで見ると絶滅してしまう可能性が大きいのですが、なぜ長い間生き残っていられるのでしょうか。

環境が悪化すると無性からオスやメスになる

 プラナリアは、条件がいい時は無性生殖ですが、環境が悪くなると分化万能性幹細胞を利用して、体内に精巣や卵巣を作って有性化し、交尾をして卵を残します。この転換のメカニズムはまだよくわかっていませんが、無性のプラナリアにすりつぶした有性のプラナリアを食べさせると、有性化することがわかっています。これは、有性に切り替わる何らかの化学物質が関与していると考えられます。このように、生物は厳しい環境を生き残るために、巧みな戦略を使って子孫を残しているのです。

参考資料
1:身近な動物を使った実験

この学問が向いているかも 発生生物学、生殖生物学

弘前大学
農学生命科学部 生物学科 准教授
小林 一也 先生

メッセージ

 私が研究している扁形(へんけい)動物の「プラナリア」は、細かく切っても、自分の力で再生します。今研究室にいるプラナリアは、30年も前に採ってきたもので、私が大学生だった頃にも研究室にいたのです。私はずいぶん年を取りましたが、プラナリアは変わりません。生き物は、想像以上に巧みな戦略で子孫を残します。生物は自分で語ることはできませんが、観察していると時々秘密を明かしてくれます。新しいことを自分で切り開き、発見していくプロセスは、とても楽しくハッピーです。ぜひ一緒に研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 幼い頃から昆虫が大好きで、いつも虫取り網を持って外を走り回っていました。小学校低学年の時にはすでに七夕の短冊に「将来の夢はノーベル賞を取ること」と書いて、博士になろうと思っていました。生き物に対する情熱はその後もぶれることはなく、大学時代に出会った「プラナリア」の研究を、現在も続けています。生物を見て、そこに起こる現象の不思議さを感じとり、「もしかしてそうかも?」と予想したことが、実験で確かめられた瞬間が一番幸せです。

大学アイコン
小林 一也 先生がいらっしゃる
弘前大学に関心を持ったら

 弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
 この総合大学という特性を生かして、本学では教養教育と専門基礎教育を重視した教育を行い、これからの社会に対応できる人材を育成することを目的としています。
 本学の学生は、歴史と伝統のある文化の香り高い弘前市で学びながら、地域の自治体や企業などと連携し、さまざまな活動に積極的に参加しています。

TOPへもどる