夢ナビ 夢ナビ

TOPへ戻る

講義No.06210

新しい人工衛星ERG(エルグ)で宇宙の謎に挑む

地球を取り囲む放射線帯

 高度6万km付近までの地球に比較的近い宇宙空間のことをジオスペースと呼びます。ジオスペースの中には、高エネルギーの荷電粒子(放射線)が充満している場所があり、「放射線帯」と呼ばれています。放射線帯は、地球をドーナツ状に取り囲んでおり、気象衛星ひまわりやGPS衛星をはじめ、私たちに身近な人工衛星は、この放射線帯の中を飛んでいます。

「宇宙天気予報」で安全を守る

 太陽からのプラズマ(電気を帯びた粒子)の風「太陽風」は、常にジオスペースに吹いてきています。この太陽風の影響を受けて、放射線帯の粒子の数は増減します。放射線帯の粒子が増えると、人工衛星が壊れて機能停止や通信障害が起きるなど、私たちの暮らしにも影響を及ぼすことがあります。また、宇宙ステーションで活動する宇宙飛行士も被曝(ひばく)の危険があるため、船外活動ができなくなってしまいます。このような被害を防ごうと、「宇宙天気予報」の研究が進められています。例えば、放射線帯の電子が、いつ、どれくらい増えるのかの予測を行い、事前に危険な状態を防ぐといった宇宙天気予報研究が行われているのです。

新しい人工衛星ERG

 放射線帯の粒子の数は、太陽風の影響で増えたり減ったりすることがわかっているものの、どうして増減するのか、メカニズムはよくわかっていません。この謎を解くために、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と全国の大学・研究機関が共同で、「ERG(エルグ)衛星プロジェクト」を進めています。このジオスペース観測用の新しい人工衛星ERGには、日本発の最先端技術を駆使して、電子1個1個を測るという世界初の試みに挑戦しています。このプロジェクトが成功すれば、今までの宇宙プラズマ物理の考え方を覆すような新発見があるかもしれません。また、放射線帯粒子の増減が起こる仕組みがわかれば、宇宙天気予報にも大きな貢献ができるものと期待されています。


この学問が向いているかも 宇宙プラズマ物理学、ジオスペース物理学

名古屋大学
宇宙地球環境研究所/工学部 電気電子情報工学科  教授
三好 由純 先生

先生の他の講義を見る 先生の著書
メッセージ

 名古屋大学の太陽地球環境研究所では、宇宙科学が専門の教員と、理学研究科と工学研究科の大学院生、工学部4年生が、太陽と地球のさまざまな現象を調べています。私が特に力を入れているのはジオスペース観測用のERG(エルグ)という新しい人工衛星プロジェクトの推進と、宇宙天気研究、そしてオーロラの観測です。宇宙やオーロラ、プラズマ、コンピュータシミュレーションなどに興味がある人は、ぜひ一緒に研究しましょう!

先生の学問へのきっかけ

 大学で地球物理学という分野を知り、地震学や気象学、宇宙空間物理学の勉強を始めました。ある講義で物理学の理論が示す規則性に従って、地球の周りの宇宙空間で多くのプラズマの波が存在している様子、そしてよくわかっていない現象も同時に観測されていることにとても興味をひかれました。宇宙空間物理学を続けたいと思い、大学院に進み、現在も研究を続けています。人工衛星のデータ解析やシミュレーションなど計算機を使うことが多いですが、アラスカやカナダにオーロラ観測にもでかけて、フィールドでオーロラの謎を追究しています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

宇宙航空研究機構(JAXA)/自動車メーカ開発/電気系メーカ開発

大学アイコン
三好 由純 先生がいらっしゃる
名古屋大学に関心を持ったら

 名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。

TOPへもどる