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神戸大学 経済学部の教員による講義

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経済学と法学のコラボで複眼的・総合的に問題解決

同じ問題でも法学と経済学では答えが違う

 社会生活にはお金を稼ぐ、ものを買う、サービスに対価を支払うなどの経済活動が欠かせません。新たなビジネスや市場が次々に出現する現代では、そこで起こる問題が複雑化しているので、同じ問題でも、法学的に解決を試みるやり方と、経済学的に解決を試みるやり方では答えが異なる可能性があります。

英会話教室と受講者、どちらの主張が正しい?

 ある大手英会話教室で中途解約時の返金額をめぐり、裁判で争われた例があります。レッスンはチケット購入制で、レッスン400回分をまとめて買うより、より多い600回分以上を買うと1回あたりの単価が安くなる仕組みです。Aさんは当初600回分を購入し、400回近く消化した時点で教室をやめることに決め残額の返金を要求したところ、教室側は約款にある通り「やめた時点の回数にもっとも近い400回分のチケット単価」で消化したレッスン金額を計算し、最初の購入金額から引いて返却しようとしました。しかしAさんは「消化したレッスン総額は最初に購入した600回分の安い単価で計算するべき」と主張し、より多くの返金を求め、結局は高等裁判所でAさんの訴えが認められました。

法の視点と経済の視点、両面から考える必要性

 法学の見地では、特定商取引法に基づき、消費者保護の観点からこの判決は正しいと考えます。しかし経済学的にみると、契約解除時に安い単価で計算できるのなら、いつでも安い単価で受講できることになり、事業者として商売が成り立ちません。たくさん購入すると単価が安くなる「数量割引」には企業にも消費者にも合理性があります。また、別の例では、携帯電話の端末と利用契約のように異なるものをセットで売る「抱き合わせ販売」も、法的にみると消費者側の選択権が狭くなるのですが、セットにより安くなっていれば経済学的には合理性があります。これまで別々に研究が進んできた法と経済ですが、今後は経済の視点と法の視点という複眼的な視点で総合的な解決が求められるようになっています。

参考資料
1:エコノリーガル・スタディーズ
この学問が向いているかも 経済学、法学


経済学部  教授
柳川 隆 先生

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メッセージ

 神戸大学経済学部では、法学部とともに「法経連携専門教育プログラム(エコノリーガル・スタディーズ)」に取り組んでいます。経済学部と法学部の学生に少人数制で双方の学問を学んでもらい、複雑な社会問題を法学および経済学の考え方や分析方法で複眼的・総合的に解決できる能力の育成をめざしています。経済学と法学は異なる思考法を有しており、両方の視点で問題解決できるエキスパートは多くありません。この画期的な教育体制を大いに活用し、多面的な視野を広げ、未来に役立つ人材となってくれることを期待しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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