アメリカ人がアメリカ文化について考える時、自分の国のことを「田舎町(small town)が集まった国」だと思っています。しかし現実は、ほとんどのアメリカ人は1910年以降、大都市に住んでいます。アメリカと聞くとニューヨークやロサンゼルス、シカゴなどを思い浮かべ、アグレッシブなイメージを抱くのは、ある意味正しいアメリカ観なのです。それでも田舎町はアメリカの歴史にとって重要なので、田舎町の集まりだと思い続けているのです。そして「友情」や「親切」のような田舎町の価値観について語ります。
このことは、アメリカの1940~1950年代を描いた映画を観ると舞台が田舎町であることが多いことからもわかります。例えば2001年の作品『マジェスティック』のような比較的新しい映画でも、背景は北カリフォルニアのローソンという田舎町です。主人公ピーター・アプルトンはハリウッドの脚本家ですが、第二次世界大戦中は兵士でした。車の事故で記憶喪失になり、生活のあてがなくなります。やがて周囲は彼を共産主義者だと思うようになり、FBIが追跡し始めます。当時、アメリカにとっての一番の脅威は共産主義国のソビエト連邦だったのです。
この映画を観ると、1940~1950年代の冷戦、軍拡競争、さらに赤狩りや共産主義の脅威など、冷戦時代のアメリカ文化について学べます。下院の取り調べに答えなかったのでハリウッドから解雇され、ブラックリストに入れられた10人の作家についても知ることができます。映画はある意味とても政治的なのですが、一方でアメリカ人の価値観に焦点を当てています。アメリカの田舎町の文化や田舎の人々が大都市の人々よりオープンで寛容であることや、共産主義や保守主義、自由主義など、異なる政治的見解や価値観を受け入れていることがわかります。
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国際学部 准教授 マイケル・ゴーマン
私の講義では、シェイクスピアから現代の作家までの英語の詩を勉強したり、アメリカの田舎の生活を描いた映画を通してアメリカの文化や習慣を学んだりします。そして、講義はすべて英語で行います。英語やアメリカ文学・文化に興味があるなら、ぜひ一緒に英語をいっぱい使って英語が得意になりませんか? あなたに広島市立大学国際学部で会える日を楽しみにしています。