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講義No.05926

「公」とは何だろう

「公」のイメージ

 あなたは「公(こう/おおやけ)」と言うと、何をイメージしますか? 「私(し/わたくし)」の対極にあるもの、例えば国家や公務員、役所や公共施設、市区町村が管理する公園、学校などが浮かぶかもしれません。「公」とは、国家が担うもので、「私」からはちょっと遠いイメージがあるようです。しかしこれは、いつの時代も変わらない価値観なのでしょうか。

「公」と「私」の関係

 「republic(共和国)」という言葉のもとになったラテン語の「res publica」は、「公共の事柄」と訳され、「たくさんの人々に開かれているもの、みんなのもの」という意味があります。つまり国家は国民のためのものというわけです。
 17世紀のイギリス革命やフランス革命以前、個人は、地域の中の一人、家族の一員、ある階級に属する民など、集団の構成員としての立場でとらえられ、「私」「個人」と「公」が対極にあるとはそれほど意識されていませんでした。それが国民主権と議会政治が整備された近代国家の誕生によって、「公」と「私」が切り離された存在になったのです。公的な秩序を担うのは国家で、そこに暮らす人々は経済的な領域で私的な利益を追求するようになりました。その経済的な領域で争いが起きないように法律をつくるのが、国家が行う政治の役割になったのです。

現代社会の問題を解決するために

 しかし多様化・複雑化した現代では、政治だけでは解決できない問題が生じています。例えばルールが決まっていても、年金保障制度はうまくいっているとは言えません。環境問題では、国を超えたグローバルな視点で公共性を考えなければならないでしょう。「公」イコール「国家」という図式ではとらえきれない問題が、現代社会にはたくさんあるのです。これまで国が担ってきた公的なことと、私的なことの境目も揺らいでいます。「公」と「私」を切り離しては、もはや解決できないのです。今こそ「公とは何か」を問い直す時期に来ているのです。

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この学問が向いているかも 政治学、政治思想史

名古屋大学
法学部  准教授
加藤 哲理 先生

メッセージ

 私の専門は政治思想史です。歴史学のように「過去に政治がどのようにとらえられてきたのか」を研究する人もいれば、哲学のように「現代における政治秩序のあるべき姿」を探る人もいます。
 政治というのは議員が議会で行うもので、遠いことのように感じている人がいるかもしれませんが、決してそうではありません。普段から、政治を自分たちの問題として考える習慣を身につけてほしいと思います。あなたの生活に政治は深く関わっています。政治とは、「あなたがどういう暮らし方をしたいか」を考えることでもあるのです。

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加藤 哲理 先生がいらっしゃる
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 名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。

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