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講義No.05814

フリーターと不法移民の姿に見る、日米の未来予想図

不法移民たちの暮らしぶり

 アメリカには1300万人と、東京の人口に匹敵する不法移民が住んでいます。メキシコや南米から来た彼らにはビザがないこともあり、大多数は非正規雇用者です。仕事は配管工や塗装業などの建築系や引っ越し業者などで、賃金は月額300ドル程度、仕事がない日も珍しくありません。しかし互いに助け合うコミュニティが機能しているため、何とか暮らしていけます。逆に言えばコミュニティから抜け出せず、アメリカの市民権を持った貧困層から襲われるといった危険もあるのですが、ポジティブで元気だというのが彼らの特徴です。

ネガティブになりやすい日本の文化

 一方、日本の非正規雇用者というと、フリーター層が思い浮かびます。特に若年層において彼らがコミュニティを形成するのが、スケートボードやダンスといった趣味的なつながりです。アメリカの不法移民と比べると遥かに職には就きやすいのですが、長続きしないこともあり、同じようなアルバイトを転々とする傾向があります。それでも経済的にはあまり困らず、安全でもあるのですが、ネガティブな精神状態に陥りやすくもあります。これは一度、レールから外れると社会に戻りにくいという日本の文化が根底にあり、メインストリームから外れていてもなお、社会的なプレッシャーが精神的コンディションを左右しているからだと考えられます。

非正規雇用者は将来のマジョリティ

 日本のフリーターとアメリカの不法移民に共通するのは社会の中でマージナル(周辺的)な立場にあるということです。そしてマージナルな集団は、20~30年先にはマジョリティ(多数派)集団となるでしょう。実際、就職せず、仮にしたとしてもすぐに辞める若年層は確実に増えています。社会の中でマージナルな存在だった非正規雇用者がマジョリティになると、価値観もそちらへとシフトします。現在はその節目の段階にあり、価値観が逆転する事態は誰もが近い将来、直面する問題となると考えられているのです。


この学問が向いているかも 社会学、コミュニティ論、社会調査論

法政大学
キャリアデザイン学部 キャリアデザイン学科 准教授
田中 研之輔 先生

メッセージ

 社会学は身近な現象から物事の関係性を考え、社会の本質に迫ろうとする学問です。本やインターネットで調べるだけでは、本質は見抜けません。自ら社会に飛び込むことで初めて見えてくる世界があり、そうやって世の中で何が起きているのかを知ることには、大きな喜びがあります。そして諸外国の文化に触れると、日本の文化に埋没していると気づかないことが浮かび上がってくるでしょう。社会的な洞察力を鍛え上げ、日本社会が直面するであろう現実的な課題に向き合ってください。

先生の学問へのきっかけ

 なぜ式典のときに制服を着なければいけないのか、なぜ修学旅行先では胸に名札を付けなければならないのか、学生の頃から、社会の価値観に疑問を抱いていました。価値観を良い悪いだけで決めたくないという思いから、大学では社会学を専攻したのですが、教科書を一読した瞬間、権利や社会のことなど、内容が腑に落ちました。そして企業への就職に脇目も振らず研究者になろうと決意したのです。今、海外でも、どんどんフィールドワークに出て行きます。その土地の人の生の声を聞き、暮らしぶりを肌で感じられるのが社会学の面白さです。

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田中 研之輔 先生がいらっしゃる
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 法政大学は、都内に3つのキャンパスを展開し、人文科学・社会科学・自然科学の領域で15学部38学科、15研究科・3インスティテュートを擁する総合大学です。「自由と進歩」「進取の気象」という建学の理念に基づき、130 年を超える歴史と伝統を持ちながらも、絶えず時代のニーズに応える挑戦を続けています。学生一人一人が将来を見据えてキャリアをデザインしていける自立型人 間になるよう、法政大学は人材の多様性や個性を大切にし、高度なレベルの教育・環境・設備を用意しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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