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講義No.05758

絶滅の危機に直面しているモグラがいる

小型哺乳類の絶滅危惧種は40%

 絶滅のおそれのある動植物を載せた各都道府県の『レッドデータブック』を見ると、意外なことがわかります。クマなどの大型哺乳類が絶滅危惧種に指定されている割合は全体の20%程度ですが、モグラやネズミ、コウモリの仲間などの小型の哺乳類は約40%に絶滅のおそれがあるのです。

エチゴモグラに迫る危機

 エチゴモグラは新潟県の固有種ですが、徐々に減少しています。同じ場所に種の違うモグラは普通共存できないのですが、近縁種のアズマモグラが増えて、エチゴモグラが圧迫されているのです。エチゴモグラの繁殖は年1回ですが、アズマモグラでは年2回で、回数の力で次第に圧倒しているのです。しかし、アズマモグラはほかの地域では通常、年1回の繁殖なのです。なぜこの地域だけが年2回なのか、その原因はまだわかっていません。
 アズマモグラは現在では東日本を中心に分布していますが、数十万年間は日本全国に生息していました。しかし、体の大きいコウベモグラが西から進出してきたために、アズマモグラは九州ではすでに絶滅し、西日本では地域ごとにわずかに残っているのが現状です。これらの地域で、将来的にはコウベモグラがアズマモグラをさらに駆逐し、アズマモグラが減っていくのではないかと心配されます。

センカクモグラ-生態系が崩れて、絶滅の危機に

 尖閣諸島の魚釣島にいるセンカクモグラは、絶滅の危機に直面しています。その原因はヤギです。島外から連れてこられたヤギが野生化し、島の植物に著しい食害を及ぼし、生態系が崩れてしまっています。植物が少なくなると昆虫やミミズも減り、センカクモグラの食べ物がなくなってしまうので絶滅の危機に陥っているのです。現状では政府に許可を得てヤギを取り除く以外に絶滅を避ける手段がありません。同じような状況だった小笠原諸島はヤギが取り除かれたので、生態系が徐々に回復しつつあります。センカクモグラが生育できるためには、本来の食物連鎖が保たれていて、自然があるべき姿を維持している環境が必要なのです。

参考資料
1:日本のモグラ類の分布(ヒミズとヒメヒミズの2種を除く)
2:1978年(上)と2006年(下)の魚釣島の立体画像

この学問が向いているかも 動物生態学、保全生物学

富山大学
理学部 生物圏環境科学科 教授
横畑 泰志 先生

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メッセージ

 私は、いろいろな野生動物について研究しています。例えばイノシシや寄生虫などですが、いちばん力を入れているのがモグラです。野外で観察したり、飼育したり、解剖したり、いろいろな方法でモグラを研究しています。私の研究室にはモグラや動物が好きな人が集まっています。モグラを研究しているといろいろなことが見えてきます。生態や食べ物を研究したり、絶滅のおそれなどいろいろな課題に取り組んでいます。野生動物が好きなあなた、夢を持って私の研究室に来てください。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃からモグラが大好きでした。かわいいと思うと同時に「すごい」と感じたのです。それは、ほかの動物は環境を受け入れることでしか生きられないのに、モグラは自分でトンネルを掘って、自分の力で自分の住む環境を作っていて、このことに尊敬の念さえも覚えたからです。中学生の頃には、博物館でモグラの標本を見て「いつか自分でも作りたい」と考えていました。大学では、動物の勉強をすると決め、獣医学の道を選びました。当時の獣医学科では珍しく野生動物の研究を進め、現在ではモグラ好きが高じて、研究室でも飼っています。

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横畑 泰志 先生がいらっしゃる
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 本学は東海・北陸の国立大学のなかで、学部数では名古屋大学に次ぐ2番目、学生定員数(学部)では名古屋大学、静岡大学に続く3番目の規模となる9学部20学科を擁する総合大学です。
 また本学には国内47都道府県すべてからの入学者がいるなど、全国から学生が集まっています。
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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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