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講義No.05752

私たちの身体を守る大切な機能「オートファジー」って何?

空腹で困ったら自分を食べる

 お腹が空いて困ったら自分を食べる、そんな究極の自給自足ともいえるエネルギー補給を行っているのが、「細胞」です。私たちの身体を作っている細胞には、飢餓状態に陥るとやむを得ず自分の成分を分解してエネルギーを得る「オートファジー」という機能が備わっているのです。
 オートファジーの研究で日本は世界をリードする存在です。1993年にオートファジーに関わる遺伝子が発見されたことで研究が飛躍的に進みました。

細胞内のお掃除ロボット

 細胞内でオートファジーの働きを行うのは、「オートファゴソーム」という小器官です。近年の研究によって、このオートファゴソームには、細胞内の不要物を吸い取る掃除機のような役目があることもわかってきました。しかも、オートファゴソームは、緻密にプログラムされた賢いお掃除ロボットのように働きます。第一に、いつも細胞内に存在するのではなく、掃除が必要なときだけタイミングよく現れます。第二に、普通の掃除機はゴミを集めたらどこかに捨てる必要がありますが、オートファゴソームは古くなったタンパク質など不要物を集めて分解し、再利用できるようにします。これが細胞のエネルギー源となるのです。細胞内には効率的なリサイクルシステムができているというわけです。

病気の治療に役立つ可能性

 オートファゴソームが細胞内のどの場所で作られるのかは長らく謎でした。しかし、細胞内の物質に発光タンパク質で色を付けて観察した結果、ミトコンドリアと小胞体が接する場所で作られることが突き止められたのです。これは2013年3月のことで、世界初の発見でした。次の課題は、オートファゴソームが作られるメカニズムの解明です。最近では、オートファゴソームが細胞内に侵入した病原体を見分けて攻撃し、私たちの健康を守ることもわかってきています。オートファゴソームの生成を制御できるようになれば、やがてはがんやアルツハイマー病などの新しい治療法や薬ができると期待されています。


ノーベル賞受賞のオートファジー研究とは

この学問が向いているかも 細胞生物学、細胞工学、遺伝子工学

大阪大学
医学部 医学科 遺伝学教室 教授
吉森 保 先生

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メッセージ

 私は高校生のころ、最初は文系志望で、大学では心理学を勉強したいと考えていました。最終的には生物学を選びましたが、その過程ではずいぶんと心が揺れ動いたものです。進路についてはうんと悩み、迷っていいと思います。ただし、一つ大切にしてほしいのは好奇心です。いつも知的好奇心を絶やさないこと、これが人を人として成立させる条件だと思うのです。そうして探究した結果が役に立てば言うことないですし、仮に役に立たないとしても、誰も知らないことを自分が見つけてやる、そんな野心を持ってください。

先生の学問へのきっかけ

 生物学を専門にしたキッカケは、いろいろな本を読むうちに、人間や動物の発達や行動に興味を持ったからでした。また物理の専門家だった父が、「これからは生物学が面白くなる」と言っていたことも強く記憶に残っていたのだと思います。ちょうど、分子生物学の分野がめざましい発展を遂げていた時代でした。
 やがて研究室に入り、「世界の誰も知らないことを見つける面白さ」を実感しました。そしてさらに、大隅良典先生の研究所で、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞したオートファジーの研究と出会い、没頭することになったのです。

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吉森 保 先生がいらっしゃる
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 自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。

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