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講義No.05741

新たな社会契約を結び直す時期に来ている日本

安心して暮らせるのかという疑問が生まれている

 近代民主国家は社会契約という思想のもとに形成されています。国民は各人が自分の自由を国に譲渡してその代わりに安心して暮らせるように政府に守ってもらうという契約に合意しているという考え方です。具体的には国民は法に従い税金や社会保険料を納め、社会福祉、社会保障、医療、教育などの恩恵を受け、安心して暮らすことができるというものです。しかし、人々の価値観が多様化し、さらに高齢化やグローバル化が進む現在、本当にこれからも国は自分たちの生活を守ってくれるのか、負担だけが増大するのではないか? という疑問が湧き上がり始めています。

格差が広がっている年金制度

 年金一つをとってみても、若い世代からは「今、年金を納めても自分が高齢となったときに十分な年金を受け取れないかもしれない。それなら自分で老後のために貯蓄していた方がよいのではないか」という意見もあがっています。高齢世代は「この豊かな日本を築き上げたのは私たちだ。年金や社会保障の恩恵を受ける権利がある」と言います。以前は、互酬性という考え方のもと不公平感はそれほど大きくありませんでした。つまり「困ったときにはお互い様」と国民全体が納得していたのですが、これだけ世代間格差が広がると合意形成は困難です。世代だけではなく家族のあり方や職業など、その人のおかれた状況の違いによる格差や損得が問題視されています。

「お互い様」を実感できるような制度の構築

 年金制度ばかりでなく、今や社会のさまざまなところで不公平感が増し、利害の対立が顕在化し始めています。合意の基礎、つまり社会契約の結び直しが求められています。そのときに大切なのは、個々の多様性を認識した上での公正とは何かという議論です。同じような条件の人が同じように社会へ貢献できるようなシステムの社会を作り上げれば、公正な社会だとみんなが納得できるでしょう。「お互い様」ということを実感できる制度に支えられた、新たな社会倫理の構築が求められているのです。


「お互いさま」の構築 社会契約の再設計へ

この学問が向いているかも 社会学、政治学、社会哲学、社会福祉学

岩手県立大学
社会福祉学部 社会福祉学科 教授
高橋 聡 先生

メッセージ

 大学で社会について学ぼうとしている人は社会をよくしたい、社会の役に立ちたいと考えているのだと思います。学びの中で新しい見方を獲得し、社会の中で何が正しく、何が重要なのかという理論を構築すると、人の行動は変わり周囲にも変化をもたらします。つまり、大学で理論を勉強することは、とても実践的なことです。大学では一つの学問領域にとらわれず、さまざまな学問領域を横断して研究し、その向こう側にある本質的なものを探していく、そういう姿勢が大切なのではないかと思います。

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高橋 聡 先生がいらっしゃる
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 大学は「知識」を得る場であるだけではなく、「人生の目的」を考える場であり、これからの人生で自分は何をなすべきかを探求する場でもあります。人はそれぞれ固有の素質と能力を持っています。それをいかに見出し、育成していくかが教育の最大課題であると考えています。この大学での貴重な学習期間に、自己の能力と個性を伸ばし、適性を見出すことに努めてください。本学の教職員は、全力を挙げてこれに協力します。

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