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講義No.05616

仮面をかぶらぬ者に権利はない!? ~人権と社会的排除~

生まれながらに?

 「人権」という言葉が初めて公に使われたのは、1776年のバージニア権利宣言や1789年のフランス人権宣言でしょう。それに先立ち、ホッブズやロックら17世紀の哲学者が提唱したのが「自然権」です。人は生まれながらにして自然に権利を「持っている」という考えです。しかしこれは正しくありません。権利とは、人がある要求を発した時、それを拘束力あるものとして認める他者がいて初めて成立します。とすると、権利は一種の社会関係です。モノのように「持ったり」「手放したり」するものではないのです。

権利は「ペルソナ」に宿る

 19世紀ドイツの哲学者であるフィヒテやヘーゲルは人間=人格(ペルソナ)としてとらえ、「人格を承認し合うことから権利関係は成立する」と唱えています。ペルソナとは、パーソン(人)の語源となったラテン語で、もともとは「仮面」という意味です。ペルソナという言葉は、古代ローマにおいて裁判の場で使われました。法廷に立つことができるのは、自分の行為に責任の持てる人です。それも他者から「彼(彼女)は責任能力を持った主体(人格)である」と認められなければなりませんでした。法や権利の世界では、私たちは生身の人間として存在するのではなく、ペルソナという仮面をかぶっているのです。

人権をめぐる問題

 子ども(未成年者)が通常の裁判所で裁判を受けられないのは、彼らは保護の対象であって、権利の主体ではないと考えられているからです。また、ある時期までは(国によっては現在も)女性も一人前の人格として認められず、法廷に立つことができませんでした。また、国を追われた難民は生活や言論の自由を奪われています。路上生活者や引きこもりの人たちは、多くの場合、権利侵害にあった時に訴える場を持っていません。本来、人権は性別、年齢、国籍などいっさい関係ないもののはずです。しかし実際は、人間でありながらペルソナではないとして、権利の世界から排除される人々がいるという問題が存在しているのです。

参考資料
1:人間はどうして権利をもちうるのか

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この学問が向いているかも 経済学、社会哲学、政治哲学、社会学

大阪市立大学
経済学部 経済学科 社会思想史 教授
中村 健吾 先生

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メッセージ

 私は、「社会思想史」という学問を担当しています。大阪市立大学経済学部は、経済学を学ぼうとするあなたにとっては、非常に刺激的な場所だと思います。なぜなら、現代の経済学の主流である新古典派経済学だけでなく、ケインズやマルクスといった今日では異端とされる学説についても学ぶことができる、多様性を重視した学部だからです。あえて異端の学説を学んでみたい人、さまざまな視点を身につけたいと思っている人、あるいは経済事象の意味を根本から考えてみたい人には、最適の学びの場です。

先生の学問へのきっかけ

 大学の卒業論文で、ドイツの哲学者ヘーゲルの「国家・市民社会論」をテーマに選び、大学院ではドイツの社会学・経済学者のヴェーバーの「国家社会学」を勉強しました。大学の教員になり、グローバル化と欧州連合(EU)のような地域統合の深まりのなかで国民国家はどう変わっていくのかを考えてきました。ヒト、モノ、金、情報、サービスが頻繁に国境を越えて移動する時代に、国民としての権利に限定されない「人間の権利」の必要性とその根拠を改めて探究したいと思ったのです。

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