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講義No.05600

他民族の文化を受け入れ、経済発展を実現

中国でも有数の経済成長

 中国、福建省の沿岸地域にはムスリム社会があります。ムスリムとはイスラム教徒のことで、ここに住む人たちの祖先はアラビア半島から「海のシルクロード」と呼ばれる航路でやって来た、主に商人たちでした。現在では中国に定住し、20世紀末から現在まで20年近くも全中国でも有数の経済成長率を記録している地域です。
 中国の少数民族である彼らが経済発展できたのは、文化に対する考え方によるものでした。民族対立や文化の衝突によって社会が不安定になれば、経済成長は実現不可能です。彼らは自分たちの文化を絶対化せず、ほかの民族の文化を排除することなく「共存共栄の道」を選んだのです。

現実路線を選択

 ムスリムが中国に住み始めた後の13世紀にはモンゴルが中国を支配しました。このとき、ムスリムの人たちはモンゴルに協力していました。しかしやがて中国は明の時代になって、漢民族の支配に戻りました。ムスリムは内陸へ追われましたが、この時代に彼らはほかの民族の文化も受け入れる現実路線を選択したのです。そして福建省で地元のために、台風から守る堤防を作ったり、農地を増やすために干拓したりと地域に貢献しました。地元の人たちと融和をめざしたのです。

ほかの文化を受け入れる柔軟な精神性

 ムスリムはもともとイスラム教徒ですが、現在ではキリスト教や仏教を信じている人もいます。イスラム教徒の人たちは毎日5回メッカに向かって礼拝しますが、ムスリムの人たちはほとんど実行していません。礼拝を行っていると仕事にならないという、彼らの現実的な考え方によるものです。
 20世紀の末までは貧しい農村であった福建省の沿岸地域が、現在では上場している企業が20社ほど存在し、スニーカーをはじめとする靴の生産において全世界シェアの25%を誇る経済発展を遂げました。この礎となったのは、他民族の文化を拒絶せずに受け入れたムスリムの人々の柔軟な精神性だったのです。

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この学問が向いているかも 中国近現代史

神戸大学
国際文化学部 国際文化学科 教授
王 柯 先生

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メッセージ

 神戸大学にはたくさんの外国人の先生が来ています。私も名字からわかるように中国から来ました。本学は国際的に開く大学をめざしています。当然、私たちの学問も国際性に富んでいます。私は今、日中関係や中国の民族主義、中国近代における民族国家建設などについて研究しています。私のゼミには多くの学生がいますが、日本人のほかにカナダ、韓国、中国などからの留学生もいます。私たちはいつも日中関係を視野に入れて勉強しています。ぜひ一緒に勉強しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 中国の漢民族出身ですが、少数民族地域で10年以上暮らし、日本でも長年生活してきました。こうした異文化との接触の経験から、「異文化の尊重は大切だが、文化は常に変容するもので、純粋な民族文化は存在しない」と気づいたのです。世界では宗教や文化の対立から多くの争いが起こっていますが、「共栄のためには、ほかの文化に対する寛容が必要で、多文化共生共存の実現をめざさないといけない」そう考え、これを証明するため、中国沿海地域のムスリム社会や日本の華僑社会について、フィールドワークを通じて研究しています。

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 また、神戸大学では、人文・人間系、社会系、自然系、生命・医学系のいずれの学術分野においても世界トップレベルの学術研究を推進すると共に、世界に開かれた国際都市神戸に立地する大学として、 国際的で先端的な研究・教育の拠点になることを目指します。

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