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講義No.05447

形のない動物の心理を生物学的に理解する

すべての動物に共通な心理は情動

 脊椎動物の脳や構造、遺伝子を調べると、人間も含めて、共通なものが多いことがわかってきました。しかし、実際にそれが生物の行動や心理にどのように反映しているかは、それほど明らかになってはいません。そこでまず、心理に関して共通なものが何かを考え、そこにどういうメカニズムがあるのかを明らかにする必要があります。心理と言っても、言葉で伝えることができる感情は、人間以外の動物は伝える能力がないのでここでは対象になりません。共通にあるのは、恐怖のような「情動」と言われるものです。

形のない心理をどうやって確認するか

 なぜそれが共通かと言えば、身体の反応として示すことができるからです。私たちは、恐怖にさらされるとドキドキしたり冷や汗をかいたりします。ほかの動物も心電図を調べるとパルスに変化が生じます。おそらく、恐怖は生存と深く関わっているので、強い身体反応を示すのでしょう。ほかにも喜びのような情動がありますが、そこまで強い身体反応は示しません。恐怖は、この研究にふさわしい材料です。また、心理を実体としてとらえる方法は、心電図のほかに脳の神経細胞(ニューロン)を観察する方法もあります。この方が、より詳細な心理メカニズムが明らかになります。

生物心理学の目標は人間の心理を理解すること

 この研究では、生きている動物を対象とします。死んでしまうと、心理を観察することができなくなるからです。また、動物は魚の脳を研究材料にします。魚の脳の神経細胞は、例えばキンギョの場合約1億個あります。人間は、その約1000倍と言われています。小さな脳であれば、全体像をとらえやすいというメリットがあります。
 魚の脳によって心理が働くメカニズムがわかれば、人間も共通なので人間の情動も理解できるようになります。この研究は生物心理学と言われますが、最終的な目標は感情を含めた人間の心理を理解することです。


この学問が向いているかも 生物心理学、生物生産学、行動神経科学

広島大学
生物生産学部 生物生産学科 准教授
吉田 将之 先生

先生の他の講義を見る 先生の著書
メッセージ

 私は、人間を含めた動物の心といった実体のないものが、脳という実際にあるものからどのようにして生まれるのか、ということに興味をもって研究を進めています。特に脳の構造は、人間とほかの動物は基本的に似通っていますので、これがどんなふうに機能しているのかを知ることによって動物の心、人間の心というものを理解したいと考えています。人間の心は広大ですが、私たちの研究は全体の理解への基礎となるものです。私と一緒にこの難問に挑戦してみたいと思いませんか。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の頃から脳や心に興味を持っていました。そして、人間とは何かという哲学的な問題について考えた結果、人間の思考を司っているのが脳であるということから、脳について詳しく知りたいと思うようになりました。哲学的な問題意識から脳の仕組みという具体的な問題に関心が移ったのです。今では、生物の体の構造や機能はかなり詳細にわかってきています。また、設計図である遺伝子配列についてもかなり解読されています。しかし、それが生物の具体的な行動や心とどう関係しているかについては、まだあまり解明されていません。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

<学部卒>公務員技術職、釣具メーカー、食品流通
<大学院卒>公務員水産職、商社、大学生物学教員、医療システム開発、水族園飼育担当
*職種は特定できないことが多い

大学アイコン
吉田 将之 先生がいらっしゃる
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