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講義No.05402

極地や高山でとらえる気候変動の影響

温暖化の影響が最も表れる極地・高山の環境

 地球温暖化による気候変動のリスクが叫ばれるようになって久しくなります。しかし、気候変動のメカニズムやそれが生態系にどのような影響を与えるかということについては、まだよくわかっていません。そこでさまざまな研究が行われていますが、そのひとつに気候変動がアラスカやシベリアの極地、また国内での高山の環境にどのような影響を与えているかという研究があります。なぜなら、気候変動の影響が一番端的に表れるのが極地の生態系だからです。

気候変動に対する応答速度の違い

 温暖化の影響により、北極海の海氷やヨーロッパの氷河が急速に減少していることはよく報じられます。影響の応答速度が速いためです。一方、アラスカの永久凍土は応答速度が遅いため、それほど減ってはいません。しかし夏場の森林火災が頻発し、その規模も拡大しているため、永久凍土も5~10年をかけて変化していきます。表面が溶けて水分条件が変化し、その上の植生や生態系も変わってしまうのです。こうした永久凍土の変化をモニタリングすることは、地球の気候変動に果たす北極圏や永久凍土の役割を解明するとともに、気候変動の予測をするためにも重要です。

日本国内にも永久凍土が存在

 また、日本国内の東北や北海道の高山にも永久凍土が存在し、氷河期の森の植生と環境が維持されていることがわかってきました。夏場に涼しい風が森の中から吹いてくる「風穴」と呼ばれる現象を探っていくと、規模は小さいながらも永久凍土が見つかったのです。また北海道のある風穴の森では、永久凍土とその上の水ごけの共生関係が見られます。水ごけが生成する泥炭の断熱効果で氷が溶けず、水ごけが生育する環境も維持されています。さらにアカエゾマツの針葉樹林やエゾナキウサギなど、氷河期と同じ環境が生きています。
 どんな自然にも歴史があります。その地形や生態系を調査・保全していくことが、地球環境を守ることにつながるのです。


永久凍土は春につくられる?

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この学問が向いているかも 環境地理学、自然地理学

福山市立大学
都市経営学部 都市経営学科 准教授
澤田 結基 先生

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メッセージ

 あなたは山の自然がきれいだと思ったことはありませんか? 山の中には、昔、氷河が削って作った氷河地形や気候変動に取り残された高山植物など、地球の歴史を物語ってくれるものがたくさん残っています。環境地理学や自然地理学では、地球の歴史を学び、地球の現在を観測し、地球の将来を予測して、人間社会のあり方を考えていきます。あなたも若いうちにどんどん旅行に行き、たくさんの人と出会い、自分がやりたいことを見つけてください。もし、やりたいことが自然に関することならぜひ一緒に勉強しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校で地理が大好きだった私は、冒険家の植村直己(なおみ)さんの著書『青春を山に賭けて』を読んで感銘し、植村さんの母校の明治大学に入りました。そして、山の自然の中で過ごす時間が大好きになりました。大学では、氷河の地形を研究していた先輩に誘われて6月の北アルプスで、自然を調査する研究のおもしろさを知りました。その後、1年間休学して、アラスカとカナダの北極圏を7カ月かけて自転車旅行しました。その風景を見て、一生関わる仕事にしたいと、永久凍土をテーマに研究生活を続けることを決意したのです。

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澤田 結基 先生がいらっしゃる
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 福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。

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