組織論とは
経営を簡単にいうと、目的を達成するために複数の人間が仕事を分担して協力し、アウトプット(産出)することです。例えば私たちが着ている服は、デザインする人や生地を作る人、縫製する人、販売する人など、大勢の人が仕事を分担して市場に送り出されています。この仕事の分担と協力を分業・協業といい、これをうまくするにはどうしたらいいのかを考える学問が経営学の組織論です。
AKB48のビジネススキーム
では、組織論でAKB48(以下AKB)を考えてみます。有名な話ですが、AKBのメンバーは48人ではありません。チームA、チームK、チームBに所属する正規メンバーと、オーディションに合格した研究生で構成される、100人近い組織です。ここから、プロジェクトごとに顧客満足度と現場を考慮したグループやユニットを組むという戦略がとられています。例えば新曲のレコーディング、AKB劇場の出演、テレビ番組やCMなど、同じAKBでもそれぞれ顔ぶれが違います。プロジェクトごとに入れ替えがあるので、メンバーは選ばれるよう努力し技能を磨こうというモチベーションが高まり、それがAKBというブランドイメージの維持・向上につながっています。
もうひとつの特徴は、彼女たち個人は別々の芸能プロダクションに所属するタレントであるということです。個人のマネジメントは所属事務所に任せて、全体のマネジメントはAKBの運営会社が行うことで、効率性を高めるというビジネススキーム(仕組み)です。
源流は京都の花街に
このAKBのビジネススキームは、実は京都の祇園に代表される花街の仕組みと同じです。驚かれたでしょうか?
お座敷で顧客をもてなす舞妓や芸妓は、置屋と呼ばれるプロダクション兼派遣会社のような事業者に所属し、お座敷ごとに(つまりプロジェクトごとに)複数の置屋から手配・編成されます。これはAKBの仕組みと同じです。
一見、新しくて現代的に見えるAKBのビジネススキームは、実は350年以上も前に構築されていたのです。