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講義No.05254

人間が設計しなくてもかしこいロボットができる秘密

進化するのは生物だけじゃない

 コンピュータの中に人工世界をつくり、それを実際に動かすことで生まれてくる「生命らしさ」を観察して、普遍的な現象や概念を探る「人工生命」という研究分野があります。そこでは、「生命らしさ」とは、いろいろな要素が相互に影響したり、そこで生まれた変化が蓄積されたりすることで、全体として新しい特徴や構造が生まれてくる「創発現象」を指します。この現象は生物に限ったことではなく、コンピュータの人工世界にも見出すことができます。

お掃除ロボットの進化を見てみよう

 創発現象の一つは、「進化」です。適応進化が起きる条件は3つ、「変異(集団の各個体に違いがあること)」「適応度の差(子どもを残せる数に差があること)」「遺伝(差をもたらす要因が一部でも子どもに受け継がれること)」です。
 お掃除ロボットを題材に、進化シミュレーションを行いました。ロボット集団の各個体に、部品となるブロックの組合せとセンサを感知したときの動作の情報を遺伝子として持たせます。そして部屋を掃除させ、きれいにできた面積に比例した数の子どもを残せるようにプログラムしました。すると、200世代のころには同じ場所をグルグル回っていたロボットが、700世代になると周囲を掃除するようになり、1600世代には壁を避けながら部屋全体を掃除できるまでに進化したのです。

「進化の仕組み」で新たなものを生み出す

 コンピュータの中に、環境に合わせてよりよい選択をしたものが生き残る「進化の仕組み」をつくることで、人間がすみずみまで設計しなくても、かしこいお掃除ロボットが生まれました。さらに人が思いつかないようなものが生まれる可能性もあるでしょう。この手法は「遺伝的アルゴリズム」と言います。従来のものづくりは人がほしいものを設計していましたが、「進化の仕組み」を使ってほしいものが生まれる環境を設計できるのです。コンピュータを単に計算機として使うのではなく、新たなものを創造するための道具として使う時代に入っています。

参考資料
1:床掃除ロボットを進化の力で自動設計

人工世界が創るビックリを見つけよう

この学問が向いているかも 進化計算、人工生命、複雑系科学

名古屋大学
情報学部 自然情報学科 准教授
鈴木 麗璽 先生

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メッセージ

 人工生命研究の醍醐味は、コンピュータの中に人工世界をつくり、その住人たちを実際に動かして相互作用させることで、人間が思いつかないような複雑なふるまいや機能を新たに生み出すことです。私は大学に入ってこの分野を知り、大きな衝撃を受けました。そして今、この分野で生物の進化の解明やさまざまな問題解決、アート作品の創作など文系理系を問わない研究を行っています。知的好奇心への衝撃は、いつどこで誰から受けるかわかりません。あなたも興味のアンテナをしっかり張って、自身の可能性を幅広く探ってください。

先生の学問へのきっかけ

 ファミコンをきっかけにコンピュータに興味を持ち、中学ではゲームのプログラムを書いて遊んでいました。高校では情報技術よりもそれらを使って何ができるかに興味がわき、情報を広く活用した新たな研究をめざす名古屋大学情報文化学部(2017年情報学部に発展改組)に進学しました。そこで出会ったのが現在の専門である人工生命の研究です。コンピュータの力をフル活用して人間が思いつかないような複雑な挙動や機能を生み出したり、生命や社会現象を理解したり、その仕組みを応用したりしていると知り、目から鱗が落ちる思いでした。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

通信系メーカーシステムエンジニア/情報系メーカーシステムエンジニア/自動車メーカーシステム開発/ソーシャルネットワーク開発/ゲーム会社開発 ほか

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鈴木 麗璽 先生がいらっしゃる
名古屋大学に関心を持ったら

 名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。

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