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講義No.05219

皮膚の下にも汗をかく!? 見えない汗も検出するOCTのすごい実力

光を使った高画質の断層撮影装置

 体内を写し出す画像診断装置。医療現場では、X線を使ったCT装置、核磁気共鳴を使ったMRI、陽電子でがん細胞を見つけるPET診断装置、超音波で画像を作る超音波エコー診断装置、レーザー光による生体機能計測装置などが利用され、デジタル技術の革新により、めざましい進歩を遂げています。「OCT(光コヒーレンストモグラフィ)」もその一つです。光(近赤外線)を身体に照射して反射光で断層画像を作るOCTは、身体への負担がなく、X線やCTの実に約10倍もの高い分解能(デジカメで言う解像度のこと)で組織を見ることができます。

微量の発汗も逃さず測定

 OCTを使った汗腺の解析実験を紹介します。汗腺は、体温調節のために皮膚表面から汗を出す役割がありますが、指先や手のひら、足の裏、額の一部にある汗腺は、緊張したときやものを握ったときにも汗を出します。これを、体温調節のための温熱性発汗に対し、「精神性発汗」と呼びます。この精神性発汗をOCTで測定したところ、「ものを握る」という刺激に反応して手のひらにある汗腺が膨張し、汗を排出する様子が精密に写し出されました。さらに、ガラスの割れる音など不快な音を聞かせたとき、皮膚表面には汗が出てこないものの、皮膚下ではにじみ出ていることが測定でわかったのです。このような弱い発汗活動は、皮膚表面の水分量を計測する従来の発汗計では調べられません。

より精密な3次元画像で診断装置の花形に

 OCTは現在、眼科で網膜剥離の診断装置などとして使われており、今後はさまざまな診療科への普及が期待されています。例えば、発汗は交感神経の働きに関係しているため、つぶさに解析することで、病気の新たな診断や治療に生かせるはずです。また、OCTを内視鏡の先に付ければ、血管や食道など身体の深部を観察することもできます。画質や測定スピードの改良をさらに重ねれば、OCTが画像診断装置の花形になる日も遠くないでしょう。

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この学問が向いているかも 医用工学、医用光学

大阪大学
医学部 保健学科 教授
近江 雅人 先生

メッセージ

 臨床現場では、CT、MRI、PET、超音波エコー、レーザー光など、さまざまな診断法が利用されていますが、今後は従来の機器に加え、エレクトロニクスや情報科学の先端技術をさらに取り入れた、新たな診断・治療、医療システムの進展が期待されています。この分野を学ぶには、工学や物理学、生物学や化学など基礎知識の修得が不可欠です。画像という目に見える形で成果が現れるやりがいのある分野ですから、コメディカル(医師以外の医療従事者)の発展に貢献できる研究開発をめざしてほしいと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学病院・放射線科、国立病院機構、公立病院機構、医療機器メーカー営業部・開発部、電機メーカー研究員、化粧品メーカー研究員、製薬会社研究員、メーカー内視鏡開発研究員ほか

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近江 雅人 先生がいらっしゃる
大阪大学に関心を持ったら

 自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。

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