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講義No.05067

地域の環境・経済・社会の大きな力! 見直される「コモンズ」の役割

地域の子ども図書室の本は誰のもの?

 地域の子ども会などが運営する図書室には、各自がいらない本を寄付してみんなの共有財産とし、誰もが利用できる仕組みがよくあります。本の管理や図書室の運営は、子ども会や自治会員が自分たちで行います。つまり、図書室という空間にある本はみんなの財産で、メンバー各自が本という資源や労働力を提供して運営するシステムです。これを環境領域に置き換えたのが、入会地などのように共同で利用・管理される土地である「コモンズ」と呼ばれる考え方です。

地域の発展の基盤となってきたコモンズ

 コモンズは古くから世界各地で見られ、近代以前のイギリスで、共同牧草地(commons)を住民が自治的に管理してきた制度がよく知られています。日本でも山林原野を一定の地域住民が、相互の話し合いを通じ、乱獲や乱伐を防ぐルールを決め、そのもとで管理される「入会林野(いりあいりんや)」や、河川や海域などをそれぞれの地域に適合した自治的なルールの下で、共同利用する制度などとして機能してきました。例えば、滋賀県の大原財産区は約320ヘクタールにも上る広大な山林を住民がルールを決めながら共有で管理し続け、得られた収益をコミュニティのために使う仕組みが守られています。

地域社会のコミュニティをつくる大きな役割

 また、大原財産区では、山林の一部を地域の小学校に学校林として貸し出しており、子どもたちによる植樹活動が明治時代から100年以上も続いています。全児童の保護者が年に一度山に入り、植えた木の育成のために下草を刈る作業をします。学校林の生産によって得た収益は、小学校のコンピュータ設備導入などに還元されています。このようにコモンズの優れた点は、持続的な環境保護に役立つこと、収益をみんなの利益になるものとして使うことによって、コミュニティ全体の豊かさを増進し、地域の自治を支える点にあります。経済面以外にも、コモンズの活動に参加する人間同士が、共同・協働的な結びつきを強めていけるという大きな意義もあるのです。

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この学問が向いているかも 応用経済学

兵庫県立大学
国際商経学部 国際商経学科 教授
三俣 学 先生

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メッセージ

 地球環境は人類みんなの財産です。環境経済学は、かけがえのない環境資源をどのように持続的な資源として利用し管理していくかをテーマとする学問です。私は各地のフィールドワークを通じて、森、海、川、温泉など、各地域で共同で利用・管理されてきた環境資源について研究を進めています。従来の市場経済が行き詰まりを見せる現代社会に、古くからの知恵として息づいてきた「環境資源の共有、共用」の考え方が、問題解決のヒントとして今、注目されています。経済や環境問題に関心のあるあなた、ぜひ私たちと一緒に学んでいきましょう。

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 兵庫県立大学は、前身の神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学を統合し、新たな総合大学として出発しました。現在、6つの学部、14の大学院研究科、4つの附置研究所等を擁する、公立大学としては有数の規模の総合大学に発展しています。
 2019年からは「経済学部」と「経営学部」の2学部を再編し、「国際商経学部」と「社会情報科学部」を開設しました。
 これからも公立大学のトップランナーとして、兵庫から全国へ、そして世界を目指して、学生と共にTRY(挑戦)を合言葉に進んでまいります。

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