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講義No.04920

根本的な治療に向けて研究が進められている糖尿病

糖尿病ってどんな病気?

 糖尿病は、生活習慣の欧米化により、増加の一途をたどっています。日本では10人に1人が糖尿病だと言われています。血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンは、膵臓のβ細胞から分泌されていますが、これが分泌されなくなったり、分泌しても効かなくなったりすると、血糖値が下がらなくなり、糖尿病になります。糖尿病で怖いのは、合併症です。病気が進行して、血糖値が上がったままになると、血管障がいが起き、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるだけでなく、神経障がいや目が見えなくなる網膜症、腎臓病などの危険も出てくるのです。

糖尿病にはⅠ型とⅡ型がある

 糖尿病にはⅠ型とⅡ型があります。Ⅰ型は、何らかの原因で免疫細胞が自らのβ細胞を攻撃してしまうという自己免疫疾患で、生活習慣や遺伝とは関係なく、現在のところ治療法はインスリンを注射するしかありません。いわゆる生活習慣病の一つと言われているのは、Ⅱ型のほうです。治療法としては、まずは食事制限と運動、次にインスリンの分泌を促進する薬や血糖値が上がらないようにする薬、さらに進行すれば、インスリンの投与ということになります。

解明が期待されるβ細胞の機能

 糖尿病はよく知られた病気ですが、なぜβ細胞でインスリンが分泌されなくなるのか、また原因遺伝子はどれなのかなど、根本的な原因はまだよくわかっていません。この辺りが明らかになれば、体に残っているβ細胞を増やすという治療ができますし、遺伝子検査などによって発症しやすい人もわかるので、予防に役立てることもできます。現在のところ、β細胞の機能と増殖についての研究が世界中で行われています。糖タンパク質がβ細胞の分泌や増殖と関連しているのではないか、という研究もその一つです。また、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ってβ細胞を再生する研究も進んでいます。糖尿病の根本的な治療への道を開く可能性を秘めたβ細胞の研究に大きな期待が集まっているのです。


この学問が向いているかも 薬学

岩手医科大学
薬学部 臨床医化学講座 教授
那谷 耕司 先生

メッセージ

 私は医学部出身で、医師免許を持っていますが、現在薬学部の教授をしています。これまで薬学のことは詳しくなかったのですが、薬学部に入ってみると、とても広い分野がありました。物理系、化学系、生物系、医療系などさまざまありますから、理系で進路を迷っている人は、薬学部に入ってから方向を決めるのもいいと思います。大学時代は、ラグビー部と、軽音楽部でドラムをやっていました。学生時代は勉強にマイナスかもしれませんが、今になると、当時の仲間の大切さがわかってきます。仲間をいっぱい増やしてください。

先生の学問へのきっかけ

 私は医学部の卒業ですが、生化学研究室の教授が同じ出身高校だったので、よく生化学の研究室に出入りしていました。それが縁で、大学卒業後も大学院の生化学の研究室で研究を始めることになりました。はじめ「糖尿病の研究」というよりは、膵β(すいべーた)細胞を研究の対象にしていました。膵β細胞はインスリンを産生することだけに特化した細胞で、細胞の機能を研究する上で有利な点が多いのです。そこからインスリンの分泌不全や作用不全が原因となって発症する糖尿病の研究へと進んでいきました。

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那谷 耕司 先生がいらっしゃる
岩手医科大学に関心を持ったら

 明治30(1897)年の私立岩手医学講習所を前身とし、以来120年以上「医療人たる前に誠の人間たれ」を建学の精神として、医師7,000余名、歯科医師3,000余名、薬剤師600余名を全国に送り出してきました。2017年の看護学部開設に伴い、医・歯・薬・看護学部の4学部が同一キャンパスに揃う医療系総合大学とし、学部・講座の垣根を越えた密接な連携による教育・研究を行っています。チーム医療教育の強化により、「病気を診るのではなく、『人』を診ることのできる」深い人間性を備えた医療人の育成を目指します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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