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講義No.04903

リアルタイムの揺れの速報まできた地震対策の世界の今後とは!?

震源地はバツ印の地点のみという誤解

 TVの地震速報では震源地にバツ印がついています。しかし、地震現象のすべてがそこで起きているのではなく、マグニチュード9クラスの地震になると震源域は数百kmという空間的広がりがあります。また同じマグニチュードの地震でも、激しく揺れるものやあまり揺れずに津波を引き起こすものなど、タイプは千差万別です。こういった地震のメカニズムの多様性は1970年代には解明されていましたが、精細な解析による「証拠」が揃ってきたのは1980年代に入った頃からで、どの断層がどんなふうにずれたのか、どんな地震波がどう伝わったのかまでが時間をかけずにわかるようになりました。

緊急地震速報は「地震予知」ではない

 そして1990年代後半に入っての計測機器や通信ネットワークの発達で、ほぼリアルタイムでの地震速報が可能になりました。地震はある場所で起きて揺れの波が周囲に伝わる現象です。秒速6~7kmの地震波より電波の進む速さのほうがはるかに速いので、地震がどこで起きたかを即座にキャッチできれば、揺れるであろう地域に「揺れ」の予告をすることができるのです。阪神・淡路大震災を契機に全国に1000個以上の地震計が設置されたことと、通信技術の発達で瞬時の情報管理が容易になったために、揺れが来ることをチャイムで知らせる「緊急地震速報」が実現したのです。ただし緊急地震速報は、あくまで「揺れ予告」で、地震予知ではありません。

予知至上主義から複合的な防災対策へ

 これだけテクノロジーが進化しても、残念ながら「地震予知」はできるようになっていません。予知は大切ですが、予知ができても被害がゼロになるわけではないのです。まずは地震をよく知ることが地震の被害を最小限にするための基本です。観測データという科学的証拠に基づいて議論した上で、個人はどうすればよいか、行政はどうすればよいか、社会システムをどうすればよいかという、各分野やレベルにわたった複合的な計画を作り実行していくことが最大の防災対策となるのです。


この学問が向いているかも 社会安全学、地震学

関西大学
社会安全学部 安全マネジメント学科 教授
林 能成 先生

先生の著書
メッセージ

 テクノロジーの発達は今まで想像もできなかったことを可能にしました。地震観測もしかりです。地震発生のメカニズムは高度に解析できるようになりましたが、それだけでは社会的な防災には全く寄与しません。本気で地震による被害を軽減するなら、地震学、土木工学、建築学、心理学、経済学などあらゆる分野を統合した複合的な対策が必要です。自分の狭い専門分野だけで世の中は動いているのではありません。あなたにはぜひほかの分野にも目を向ける、複眼的な視点を持って学んでほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 東京大学大学院で地球上のいろいろな現象を研究する地球物理学を専攻していました。JR東海で新幹線の地震対策を数年間担当していたとき、地震のメカニズムを徹底解明する地震学だけでは、乗客を安全に運ぶという目的を達成できないと強く感じ「新幹線という現場のニーズを踏まえ、その上で地震学の知識を生かせば、より地震に強いものにすることができる。誰かが学問としての地震学と、現実の社会との橋渡しをしなければ!」と一念発起し、専門の地震学を生かした地震防災の研究を始めました。

大学アイコン
林 能成 先生がいらっしゃる
関西大学に関心を持ったら

 1886年、「関西法律学校」として開学した関西大学。商都・大阪に立地する大学らしく、学理と実際との調和を意味する「学の実化」を教育理念に掲げています。2010年4月には、JR高槻駅前の高槻ミューズキャンパスと、大阪第2の政令指定都市である堺市の堺キャンパスと、2つの都市型キャンパスを開設。安全・安心をデザインできる社会貢献型の人材を育成する「社会安全学部<高槻ミューズキャンパス>」、スポーツと健康、福祉と健康を総合的に学ぶ「人間健康学部<堺キャンパス>」を開設しました。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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