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講義No.04721

チョコレートの食感を決める魔法の脂

チョコレートのおいしさとは何か

 チョコレートのおいしさとは何でしょう。もちろん、おいしさを判断する基準には、味やにおい、食感、色などさまざまな要素があります。その中で食感に注目してみると、口どけのよさと「スナップ性」という、パチンと割れる性質がおいしさの中身です。チョコレートは、ココアバター、カカオマス、砂糖などでできています。カカオの実を割ると種(カカオ豆)がありますが、それを天日乾燥して発酵させ、すりつぶして出てきた脂がココアバターです。チョコレートの物性を決めているのは、そのココアバターなのです。

口どけのよさとスナップ性の原因

 ココアバターと一般のバターを比較してみると、温度を上げるとバターは徐々に柔らかくなりますが、ココアバターは30度近くまで固さを保持し、それを過ぎると急速に柔らかくなるという独特の性質を持っています。この温度は人間の口の中の温度と対応しています。これが口どけのよさとスナップ性の原因です。このような性質を示す脂は、自然界ではほかにありません。ただ、ココアバターの融点は結晶の形によって変化します。6種類の結晶の形があり、Ⅴ型にしないとちょうどよい33度の融点になりません。Ⅵ型は安定していますが融点が36度と高く、チョコレート特有の光沢が失われ、表面が白くなってしまいます。

バレンタインデーにチョコを上手に作るには

 Ⅴ型の結晶にするには、溶けたチョコレートをいったん27度まで下げて、まずⅣ型の結晶にします。その後30度まで上げるとⅣ型の融点27度を超えるので溶けて液体になります。それをそのままにしておくと口どけのよいⅤ型になります。バレンタインデーで女の子がチョコを溶かして形を作る時に失敗するのは、この原理を知らないからです。問題なのは、チョコレートは時間がたつとⅥ型になってしまうことです。そうなると表面が白くなり味が落ちます。そのため、メーカーでは乳化剤を入れてⅥ型になるのを遅くするなど、おいしいスイーツを作る工夫をしているのです。


チョコレートの科学~おいしさとの関係~

この学問が向いているかも 食品科学

広島大学
生物生産学部 生物生産学科 教授
上野 聡 先生

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メッセージ

 私が研究しているのは、食品物理学という分野です。チョコレートやマーガリンのような脂を含んだ食品の物理的な性質を調べて、それをおいしさにつなげたいと考えています。同じ種類の食品であっても、いろいろなタイプの商品がありますが、より豊かによりおいしくするために、さまざまな角度から研究を行っています。それには、柔軟な頭が必要です。あなたは今、勉強をがんばっていると思います。しかし、教科書の勉強をするだけでなく、幅広い分野の本を読んで視野を広くしてほしいと思っています。

先生の学問へのきっかけ

 私は大学院生の時には細胞膜の状態変化の研究をしていました。卒業後、農学系の生物生産学部に就職が決まり、それは、食品油脂の研究を行っている研究室でした。当時の教授が、チョコレートの研究を行っていたため、現在、私はそれを引き継いで行っているのです。チョコレート以外にもマーガリンやマヨネーズの状態が変わる現象について調べています。食いしん坊で、特に甘い物は大好きなので、ちょうどふさわしいと思います。いつかアイスクリームについて研究を行いたいと考えています。

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