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講義No.04438

街を元気にする景観デザイン

空洞化した街に火を灯す

 「シャッター通り」というさびしい言葉があります。駅前や街の中心地が空洞化してしまい、空き店舗が増えてしまった商店街や、町並みの様子を表す言葉です。それでなくとも地方の中心市街地は夜が早く、暗い街となりがちです。そんな街を活性化し街を明るい魅力で彩るために、明かりのアートオブジェを置く試みがあります。
 金沢市で毎年開催されるイベント「月見光路(つきみこうろ)」も、こうした狙いの元に始められました。今では金沢は金沢城公園のライトアップなどが世界的に評価され、日本の都市では初となる「シティ・ピープル・ライト・アワード」で見事3位を受賞するほど夜景の美しい街となっています。

景観デザインは街の重層性を意識する

 「月見光路」はいわば期間限定の景観デザインですが、デザインを考える上で重要なポイントは、その景観の背景にある街の歴史を意識することです。街の良さや味わいは、長い時間の積み重ねの中で育まれるものです。金沢の街の歴史は、加賀藩前田利家が築城する以前に始まり、最先端の金沢21世紀美術館にまで連綿として受け継がれています。そんな歴史の厚みを持つこの街の特徴は、文化と市民の距離が近いことにあります。街を歩き、景色を眺め、その音に触れ(時に三味線の音が聞こえてくることもあります)、五感を働かせて吸収したものをベースにデザインを組み立てます。

その街らしさをどう表現するか

 金沢にあった景観デザインを考えるなら、伝統を生かす視点は欠かせないポイントです。ただしデザインする上で「ジャンプ」することも欠かせません。伝統のエッセンスを抽出したら、それをそのまま使うのではなく、現代を生きている人間の感性で表現し直すのです。これが「ジャンプ」の意味で、その結果がデザインとなります。
 景観を育んできた地域の文化性や歴史の重層性を意識しつつ、時間のつながりの中に新たなステップを刻む、というような景観デザインが、街に新たな息吹を吹きこみ、街を活性化させるのです。


この学問が向いているかも 建築学、都市計画学、図学

金沢工業大学
建築学部 建築学科 教授
川﨑 寧史 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

 私は、都市デザインや景観デザインを専門として、これまでいくつもの街を訪ね、さまざまな活動をしてきました。都市や景観のデザインを考えるためには、その街を実際に歩き、街角に座り、風を感じ、夜の暗さをも体験することが必要です。その時、あなたの五感に訴えかけてくるものをすべて吸収するのです。よい建築を考えるためには、芸術や文化までさまざまな知識を身につけておくことが大切です。金沢は素晴らしい街です。この街に興味がある人は、景観デザインを通じて、ぜひ一緒に街の活性化に取り組みましょう。

先生の学問へのきっかけ

 父が大学教授で建築家であったことで、小さいころから空間や街、建築のデザインに自然に興味を持っていました。兄も景観デザイン、私は空間デザインが専門と、まさにデザイン一家です。また、私は、京都という美しく伝統のある街で育ったこともあり、「美しい街」「趣や歴史のある街」がとても好きで、その感性の中で生活していきたいと考えています。現在は、金沢に住み、教育研究やデザイン活動ができることを幸せに感じています。

大学アイコン
川﨑 寧史 先生がいらっしゃる
金沢工業大学に関心を持ったら

 金沢工業大学では、講義等で「知識を取り込み」、それを仲間との実験・演習の中で「思考・推論」し、組み替え結びつけることで「新たな知識を創造」し、その成果を「発表・表現・伝達」する独自の学習プロセスを全科目で導入しています。さらに高度な研究環境の中で産学協同による教育研究を実践するとともに、夢考房など知識の応用力を高める多彩なフィールドを実現することで、獲得した知識を知恵(応用力)に転換できる「自ら考え行動する技術者」を育成しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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