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講義No.04352

世界をつなぐスポーツの力~スポーツを通じた社会開発とは

経済発展だけではひずみが生まれる

 開発途上国の多くは、貧困、紛争、医療、教育など、さまざまな社会的課題を抱えています。それらの国に対する支援は、経済的な開発援助だけでは十分とは言えません。問題は複雑に絡み合っており、経済を発展させることが、かえって貧富の差を生むこともあります。そこでこのような社会のひずみを解決して社会発展を促そうという、「社会開発」の取り組みが活発になってきています。

スポーツがきっかけになる

 日本に住む私たちの想像以上に、途上国の人々は社会参加のチャンスが限られています。自分の生まれた村から一歩も外へ出ずに一生を過ごす人も少なくありません。特に貧困層や女性、少数民族など社会的弱者とされる人たちにとっては、社会と関わりたくても情報や交通手段がない、教育が受けられない、周囲が許さないなどの事情から社会参加が容易ではないのです。
 そのような人々が社会に参加する第一歩として、スポーツを用いた社会開発が行われています。例えばサッカーなら、場所さえあれば大掛かりな設備がなくてもボール1つで楽しめます。スポーツをすることは心身の健康につながり、練習を通じて他者とのコミュニケーションも図れます。さらに他チームと試合をしたり、その試合を地域の人々が見にでかけたりしてコミュニケーションの輪が広がれば、社会との関わりも自ずと広がっていくのです。

貧困や紛争地域でスポーツにできること

 民族紛争が激しく巻き起こっていたボスニアでは、次のようなことがありました。敵だった民族とサッカーの試合を何度もするうちに相手チームとの距離が縮まり、やがて選手が足りないときはチーム間で選手の貸し借りを行い、練習も一緒にするなど、お互いを少しずつ理解するきっかけになったのです。
 スポーツは、途上国の課題を直接解決することはできません。しかし社会参加の機会や、問題を解決するための糸口になります。そこから先は、生活の改善や地域・国の幸せのために、集まった人々が声を上げることが重要になるのです。

スポーツでできる国際協力、社会貢献

夢ナビライブ2015 名古屋会場

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現地の人たちとの国際協力という形

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この学問が向いているかも スポーツ社会学、開発学、国際協力学

大阪大学
人間科学部 附属未来共創センター 准教授
岡田 千あき 先生

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メッセージ

 私の研究は、日本ではまだ珍しい「スポーツを通じた社会貢献」、中でも「開発途上国の社会的課題の解決」を目的としています。多くの開発途上国では、貧困、紛争など、さまざまな社会的課題を抱えています。スポーツは、これらを直接解決することはできませんが、個人の生活の質を上げることに貢献します。まさに今、部活動などで熱心にスポーツに打ち込んでいる人もいることでしょう。そんなスポーツのよさや価値を一番わかっているあなたに、スポーツを通じて社会に貢献できることを一緒に考えてほしいと思います。

先生の学問へのきっかけ

 「スポーツに関する仕事がしたい」と、青年海外協力隊に入り、体育教師としてジンバブエに駐在しました。しかしそこは、食べ物が不足し、勉強も満足にできない環境にありました。「ここで体育を教える意味とは何だろう」と疑問を感じ、今度はNGOに所属して、コソボ共和国に行きました。その頃コソボは、難民が国に戻り始めた厳しい状態でしたが、あかりもないボロボロの体育館で、懐中電灯を頼りに人々がバスケットボールを楽しむ姿を見て「スポーツをしてきた経験が国際協力に役立つのではないか」と研究に道に進んだのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

外務省職員、公益法人職員、JICA職員、社団法人事務局長、開発コンサルコンサルタント、国際交流基金職員、大学国際課職員、大学教員、国際協力NGO駐在代表、新聞記者、民間企業社員ほか

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岡田 千あき 先生がいらっしゃる
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 自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。

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