夢ナビ 夢ナビ

検索結果一覧へ戻る

講義No.04314

ただ細いだけじゃない、ナノファイバーの高機能

高分子化学を応用したナノテクノロジー

 高分子とは、1万以上の分子によって構成される化合物のことで、さまざまな高分子の特性を研究する学問が、「高分子化学」と呼ばれるものです。現在、ナノメートル(10億分の1メートル)の大きさのものをつくるナノテクノロジーが、電池やコンピュータをはじめ、さまざまな分野で活用されていますが、高分子化学を応用したナノテクノロジーも進歩しています。その一つに、「ナノファイバー」が挙げられます。

ウイルスも除去するナノファイバーの力

 ナノファイバーとは、その名の通り、ナノレベルの細さの繊維です。現在最も利用されているのは、風邪用マスクなどのフィルター部分です。極細のナノファイバーを織り込むことで、非常に微細な穴をつくり、ウイルスなどの病原体をもとらえることができます。しかし、マスクのフィルターは、ナノファイバーの構造のみを生かしたものであり、その可能性の一部に過ぎません。単に小さい、細いというだけではなく、ファイバーの中ではものが非常に速く流れるなど、今まで知られていなかった独自の特性を備えており、いろいろな材料の素材となる可能性を秘めています。

高機能の燃料電池をつくる

 ナノファイバーの機能の中でも注目されているのは、現在脚光を浴びている燃料電池への応用です。燃料電池は、電解質膜をプロトン(水素イオン)が通ることによって発電できるのですが、電解質膜にナノファイバーを使用すると、効率のよいプロトンの供給が実現できます。また、自動車に燃料電池を使う場合は、-40度から+130度くらいまでの温度環境で、一定の性能を維持できなければ実用に耐えません。そんな高機能も、ナノファイバーの使用によって可能となるのです。
 ほかにも、電気を流すことができるナノファイバーもあり、LSI(大規模集積回路)などの小型化に応じて、配線用に使うことも検討されています。このように、ナノファイバーはバイオテクノロジー、環境、エネルギーなど、多様な分野への応用が期待されているのです。


この学問が向いているかも 分子応用化学

東京都立大学(旧・首都大学東京)
都市環境学部 環境応用化学科 教授
川上 浩良 先生

先生の他の講義を見る
メッセージ

 今の生活の中で、あるいは大学進学後に考えてもらいたいことが2つあります。1つは自分が本当に好きなこと、やりたいことを見つけること、もう1つは新しいことに挑戦することです。世の中で成功している人に共通することは、好きなことを最後まで成し遂げたということです。好きなことであれば続けることができます。新しいことへの挑戦では、自分の能力以上のことを試すので、多くの失敗をともないますが、失敗から学べることは多く、挫折は自分を成長させるチャンスです。首都大学東京はそういうあなたを応援します。

先生の学問へのきっかけ

 化学に興味を持ったのは、学問の中で化学だけが、物質を自由に作ることができる学問だからです。さらに、化学の中の高分子化学に興味を持ったのは、その多様性が化学の中で最も大きいためです。つまり、世の中で起こるすべてのことを高分子は研究の対象にすることができ、自分が興味のあることを高分子を使えば実現できると思えたからです。地球温暖化の二酸化炭素を分離する高分子膜の研究、水素社会の中心となる燃料電池の研究、遺伝子を制御して病気を治すエピジェネティクスの研究など、高分子を使えば全て実現できるのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

化学系企業研究員、総合電機系企業研究員、製薬系企業研究員、自動車企業研究員、化粧品系企業研究員、医療用機器系企業研究員

大学アイコン
川上 浩良 先生がいらっしゃる
東京都立大学(旧・首都大学東京)に関心を持ったら

 東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

TOPへもどる