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講義No.04279

原子の並び方や組み合わせを変える「現代の錬金術」

新しい機能を持つ物質の創出

 原子の並び方や組み合わせを人為的に変えると、物質の性質は劇的に変わります。試行錯誤しながらこれを繰り返すことで、私たちの生活に役立つよう開発されてきた高性能な物質は、さまざまな場面で現代社会を支えています。ハイブリッドカーのモーターに使われるネオジム磁石、リニアモーターカーに不可欠な超伝導体、IT機器に内蔵される半導体など、多種多様です。
 今までになかった性質を持つ物質を創り出すという点で、このような研究は「現代の錬金術」と呼べるでしょう。

原子の「ガラガラ」

 こうした研究の一つに、かご状構造を持つ物質に着目したものがあります。
 多数の原子が並んでかご構造を形成し、そのかごの中に希土類イオンなどの原子が入った結晶構造をこの物質は持っています。かごは大きいので、中の原子は動くことができます。ちょうど赤ちゃんをあやすガラガラのおもちゃのような状態なので、この特徴はラトリング(英語でガラガラのこと)と呼ばれます。
 このようなラトリング構造を持つ物質の本格的な研究はまだ始まったばかりですが、原子の組み合わせを変えることで磁石や超伝導になることが発見され注目を浴びています。果たして、この物質を私たちの生活に役立たせることができるでしょうか?

物質が熱を電気に変える

 この物質は、面白いことに、熱を電気に変換する能力も持っているのです。温度差のある二つの場所をこのような物質で橋渡しすると、物質の両端に比較的大きな電圧が発生するので、熱を電気に変換できるのです(熱電変換)。自動車や火力発電所の排ガスなど、さまざまな場所で熱のエネルギーが捨てられています。これを電気に変えて回収できれば、エネルギー問題の解決に役立つ革新的技術になります。ラトリング物質は、この熱電変換の有力な候補物質です。NASAも、太陽の光が届かない宇宙空間を飛行する人工衛星の電源に利用すべく研究しています。研究が進めば、将来私たちの身の回りのさまざまな場所にガラガラ物質が使われるかもしれません。

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この学問が向いているかも 物性物理学

東京都立大学(現・首都大学東京)※2020年4月校名変更
理学部 物理学科 教授
青木 勇二 先生

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メッセージ

 大学の物理学コースに入学すると、3年生までは主にインプットの段階で、すでに確立された科目を学びます。しかし、4年生になり卒業研究がスタートすれば、いよいよアウトプットの段階。最先端の研究に触れながら、答えのない問題にチャレンジします。だから、学会で発表できるような新発見のチャンスが4年生でもあるのです。実際に私たちの研究室からもそんな発見が出ています。4年後、さらには大学院でわくわくする研究生活を送りながら思う存分プレーできるように、理数系のさまざまな基礎力を今から着実に身につけましょう。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

機能性材料メーカー研究員、電子部品メーカーエンジニア、光学機器メーカー開発研究員、ITサービス会社マーケティング、化学材料会社研究員、自動車メーカーエンジニア、大学教員、国家公務員

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東京都立大学(現・首都大学東京)※2020年4月校名変更に関心を持ったら

 東京都立大学(現首都大学東京)は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。

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