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講義No.04159

テラヘルツ波ケミカル顕微鏡で作る、夢のがん治療薬

レーザー光を超短時間、照射すると何が起こるか

 例えばLSI(シリコンでできた大規模集積回路)に、レーザーパルスを照射します。照射時間は100フェムト秒(10兆分の1秒)と超短時間にします。レーザーパルスを受けて、LSIの中の電子が超高速に動き出すのです。
 電子が動くと、電磁波が発生します。電磁波は、その波長により長い方から、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線などに分けられますが、LSIにレーザーパルスを当てると、電波と光の間の波長を持つテラヘルツ波が出ます。このテラヘルツ波を分析すれば、LSI内部の状況を調べることができるのです。

テラヘルツ波の出方で化学反応を可視化する

 またレーザーパルスをシリコン製のチップに照射しても、LSI同様テラヘルツ波が出ます。この原理を応用して、目に見えない化学反応を可視化するシステムが開発されています。その対象はタンパク質です。
 シリコン製のチップの上にタンパク質をのせて、レーザーパルスを照射すると、タンパク質の状況に応じてテラヘルツ波の出方が変わるのです。テラヘルツ波の変化を解析すれば、タンパク質に起こっている変化を確認できます。この仕組みを使ったテラヘルツ波ケミカル顕微鏡が、今後の医薬品開発の切り札として期待されています。

人類の夢、がん治療薬の開発に貢献

 最先端の医薬品はタンパク質で作られるようになってきました。これは「抗体医薬」と呼ばれ、病気になったタンパク質だけにピンポイントで作用します。がん治療用の抗体医薬なら、がん細胞だけに働きかけるのです。つまり、がん細胞に対しては強力な効果を持ちながらも、ほかの正常な細胞にはほとんど影響をもたらさない、副作用の少ない薬となります。
 すでにリウマチ用の抗体医薬は開発されていて、今後はテラヘルツ波ケミカル顕微鏡が、がんに対する特効薬の開発に貢献すると考えられています。

テラヘルツ光で照らす明るい未来!

夢ナビライブ2016 大阪会場

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皮膚がんの診断にテラヘルツを応用する

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この学問が向いているかも 応用光学、量子光工学、テラヘルツ波工学

岡山大学
工学部 電気通信系学科 准教授
紀和 利彦 先生

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メッセージ

 高校の授業科目で好き嫌いがあるのは、誰でも当たり前のことです。まず興味のある科目を、一生懸命に勉強しましょう。加えて、ほかの科目にも関心を持つように心がけてください。「電磁波」の研究には、電気や化学が関係してきます。現在期待が高まっているテラヘルツ波をタンパク質の解析に活用しようと思えば、生物の知識も必要です。豊富な基礎知識は、発想を大きく広げる助けになります。一見、関係のなさそうなものを組み合わせたりする中に発見があり、豊かな発想が芽生えてくるものです。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃、ちょうど「超伝導」が注目を集め、いろいろな未来の世界が紹介されていました。私も「超伝導」を研究したくて大学では電気工学を学びました。4年生の時には「超伝導」で「テラヘルツ光」を出す研究にどんどんのめりこみ、大学院へ進学して研究者になる道を選びました。
 しかし、飽きっぽいところもあり、大学時代は電気よりも有機化学や生物の話のほうが好きでいろいろな分野に寄り道もしました。現在、研究しているのはテラヘルツ光でたんぱく質を見る研究や、化学反応を見る研究で、その寄り道が大いに役に立っています。

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紀和 利彦 先生がいらっしゃる
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 岡山大学は、これまでの高度な研究活動の成果を基礎として、学生が主体的に“知の創成”に参画し得る能力を涵養するとともに、学生同士や教職員との密接な対話や議論を通じて、個々人が豊かな人間性を醸成できるように支援し、国内外の幅広い分野において中核的に活躍し得る高い総合的能力と人格を備えた人材の育成を目的とした教育を行います。

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