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講義No.04126

発生学と解剖で人体を立体的に考えてみよう

解剖と発生学

 「発生学」とは、人の体ができる過程を学ぶ学問です。人体は生まれる前の胚子の段階ですでに基本形ができています。受精卵が分裂して3つの胚嚢(はいのう)ができ、外・中・内の3層の円盤になり、それぞれ皮膚や内臓になっていくわけです。発生を学ぶと、円盤が体の形になっていくにあたり、反時計回りに消化器ができあがっていく過程がわかり、なぜ臓器が左右非対称なのかとか、腸がどうとぐろを巻いているのかとか、相互の関係が理解できます。各臓器をパーツでしか見ず相互の関係を考えないと、体を「もの」として見てしまいがちです。でき方を知っていれば、臓器があり、血管があり、神経がめぐっているといったからくりがわかり、逆に人体はそんなに複雑なものではないと思えるでしょう。

血管を見てみると……

 肺や腎臓、肝臓は血管が特殊に分化しています。肺は呼吸をするのに、腎臓は尿を作るのに、肝臓はグリコーゲンを蓄積するのに特化した形になっています。臓器はその中を通っている血管で機能しているのです。現在、肝臓の細胞はiPS細胞で人工的に作れますが、肝臓自体を作ることができないのは血管ができないからです。血管の発生については、血流の強い1本から細い物が派生してできると長年信じられていましたが、実はそうではなく最初から決められた設計図に基づいてできていることが、ゼブラフィッシュやマウスなどの研究によってわかりました。例えば、できたばかりの肝臓は卵黄の栄養を吸収し、栄養を運んだ血液を心臓に戻します。肝臓の門脈は卵黄の血管系が置き換わったもので、門脈が腸で吸収した栄養を肝臓に運ぶ役割は、最初から設計図に組み込まれていたことがわかるでしょう。

解剖の必要性

 CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)など画像診療の発達した現在では解剖など不要なのではないかという説もあります。しかし3次元で人の体を立体的に実感するのはやはり解剖が一番ですし、人の死を実感するという意味でも解剖の有効性が認められます。


この学問が向いているかも 解剖学、発生学

岩手医科大学
医学部 解剖学講座 人体発生学分野 教授
人見 次郎 先生

メッセージ

 私は息子に国語と数学と英語を勉強しろと言います。考え方の基本はこの3教科からできあがっていくからです。理系の学問には英語や国語は重要でないと思うかもしれませんが違います。英語は文の作りを細かく追究し、構文を理解できないとできません。国語も理詰めの文章を書くのに必要です。学生に国語力がなく、説明せよと言われても書けないことがあります。解剖学は記述の学問で、数式より文章で書くことが多いです。患者や社会に向けてきちんと説明できるロジカルシンキング(論理的思考)とコミュニケーション能力が大事なのです。

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人見 次郎 先生がいらっしゃる
岩手医科大学に関心を持ったら

 明治30(1897)年の私立岩手医学講習所を前身とし、以来120年以上「医療人たる前に誠の人間たれ」を建学の精神として、医師7,000余名、歯科医師3,000余名、薬剤師600余名を全国に送り出してきました。2017年の看護学部開設に伴い、医・歯・薬・看護学部の4学部が同一キャンパスに揃う医療系総合大学とし、学部・講座の垣根を越えた密接な連携による教育・研究を行っています。チーム医療教育の強化により、「病気を診るのではなく、『人』を診ることのできる」深い人間性を備えた医療人の育成を目指します。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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