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講義No.04116

社会主義国家ルーマニアは、なぜ独裁化し、崩壊したのか

大国に翻弄されたルーマニアの歴史

 東欧の小国ルーマニアは、世界大戦のたびに国境線が引き直されました。まず第一次世界大戦後にオーストリア・ハンガリー帝国が崩壊し、北西部が新たにルーマニア領となりました。第二次世界大戦後にはモルドバ地方をソ連に取られてしまい、領土縮小の憂き目にあいます。その後1947年にソ連の影響を受けた共産党が政権を獲得し、社会主義化が進められます。

独裁者チャウシェスクの自主独立路線

 1965年、チャウシェスクが共産党の書記長となり、独裁化を進めます。普通なら何らかの歯止めがかかるところですが、ルーマニアは民主化度が低く、国民が反発しなかったのです。むしろ国をまとめて経済振興を進めるためには、強力なリーダーシップが望ましいと考えられました。
 石油や天然資源に恵まれていたこともあり、ルーマニアはソ連の影響下を離れて自主独立路線を取り、東欧では極めて異色の存在となりました。ソ連と対立する中国と国交を結んだり、アメリカから当時の大統領ニクソンを招いたりしました。そしてIMF(国際通貨基金)に加盟します。

経済破綻と独裁者の失墜、そしてEU加盟へ

 ルーマニアは西側銀行からの融資を受けて工業化を進めますが、石油ショックにより壊滅的なダメージを受けました。国家財政は破綻し、100億ドルもの借金を抱えたのです。しかし、チャウシェスクは農作物の飢餓輸出(国内で必要な物資の消費を規制し輸出に回して外貨を獲得すること)などによって借金を完済します。ただし、国民は非常に貧しい生活を強いられ、たまった不満が爆発し、1989年12月25日にチャウシェスクは殺されました。
 その後、厳しい条件を何とかクリアしてEUに加盟し、再び西側から投資が行われるようになりました。労働移動の自由が認められて、イタリアやスペインへの出稼ぎも盛んに行われるようになります。今では独裁時代と比べて経済水準が向上し、国民の暮らしもずいぶんと豊かになっています。

BREXIT後の欧州連合(EU)

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この学問が向いているかも 経済政策、経済発展論、国際関係論

神戸大学
経済学部  教授
吉井 昌彦 先生

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メッセージ

 日々テレビのニュースを見たり、新聞をしっかり読むなど、政治や経済の動きに関心を持つよう心がけてください。新聞はインターネットでも簡単に読めます。できれば2紙以上、同じテーマについての社説を読み比べるとよいでしょう。テーマは同じでも新聞社によってとらえ方が違うので、物事を多面的に考えるよい訓練になり、受験勉強にも役立ちます。また可能なら、できるだけ早い時期に海外に行ってみましょう。海外でさまざまな体験をし、それがどんな意味を持つのかと考えることも、あなたの視野を広げてくれます。

先生の学問へのきっかけ

 学部時代にシベリア鉄道に乗って旧ソ連を旅し、なぜソ連経済は思っていたよりも貧しいのだろうと疑問をもつようになり、ソ連に暮らす人々がより豊かに暮らせるように、ソ連経済がうまく機能しない原因を解き明かしてみたいと思い研究者の道に入っていきました。そして、社会主義経済が崩壊した後は旧ソ連や中・東欧諸国の市場経済への移行過程を追い、中・東欧諸国がEU加盟を果たしていく中で、EUとは何なのか、EU経済はどうなっているのかに関心を持ちながら、中・東欧経済がどのように変化しているかを研究しています。

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