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講義No.04098

次世代新幹線リニアモーターカーを支える超伝導

モノを極限まで冷やすとどうなるか

 物質化学の分野で、非常に盛んに研究されているテーマの一つが「超伝導」です。超伝導とは、ある金属や化合物などを絶対零度(摂氏マイナス273.15度)に近いレベルの極低温にまで冷やしたとき、電気抵抗が急激にゼロになる現象のことを言います。1911年、オランダの物理学者カメルリング・オネスが、液化ヘリウムを使って水銀を冷やし、絶対温度4.2度(摂氏マイナス269度)で電気抵抗がゼロになることを発見しました。世界で初めて「超伝導現象」が確認された瞬間です。

超伝導のとても不思議な特徴

 超伝導状態になった物質は、二つの特異な性質を帯びます。一つは電気抵抗がゼロになること、もう一つは磁力線をまったく取り込まなくなることです。これを「完全反磁性」または「マイスナー効果」と言います。通常の物質には、必ず磁力線が入り込みます。どれぐらい入り込むかは物質によって異なり、例えば鉄は磁力線を多く取り込むので磁石を近づけるとくっ付くのです。逆にアルミなどは磁石を近づけても反応しません。アルミも磁力線を取り込んではいますが、鉄ほどではないからです。
 これに対して超伝導状態になった物質は、磁力線を完全に遮断します。強力な磁石の上に超伝導物質を置くと、行き場を失った磁力によって空中に押し上げられるのです。超伝導物質は完全に浮いているので、わずかに力を加えれば抵抗なく動きます。この原理を応用したのがリニアモーターカーです。

超伝導で浮き、磁力で走るリニアモーターカー

 日本のリニアモーターカーは、車両に設置した超伝導磁石と線路側に設置したコイルによる電磁誘導で車体を浮かせ、超伝導磁石と軌道側に設置された電磁石による磁極間の反発力・引力を使って推進力を得るのです。推進力の原理は通常のモーターと同じですが、モーターが電磁石のNS極の切り替えで回転力を得るのに対して、軌道側の磁石を直線的つまりリニア(linear)にNS極を切り替えて力を得ます。だから「リニア」モーターカーと呼ばれるのです。


先端科学技術を支える材料開発と物性評価

この学問が向いているかも 無機化学、物理化学、物性科学

京都大学
理学部 化学教室 教授
吉村 一良 先生

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先生がめざすSDGs
メッセージ

 京都大学の理学部の特長は「緩やかな専門化」です。最初はみんな理学部理学科で始まり、化学を専攻したとしても、後に物理や生物の研究に進むこともできます。ですから、とにかく物質に興味があるというあなたは、まず化学を選択してみるのはどうでしょう。化学は、実に幅広い学問分野につながっています。まだわからないことがとても多く、化学反応の可能性などは無限に広がっています。そして、もし常温超伝導体の合成に成功すれば、送電効率が飛躍的に上がって大幅な省エネになるなど、化学は実社会にも貢献できる学問分野なのです。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から磁石に強い興味を持っていました。なぜ磁石は引き合うのか。なぜ方位磁石はいつも北を指しているのか。それがどういう原理なのだろうと本当に不思議で、いつになったら答えがわかるのだろうと、中学・高校の理科の授業が楽しみでした。でも結局その疑問に答えてくれたのは、大学の専門課程での「磁性物理学」の講義でした。それがもとで、その講義を担当していた私の恩師の研究室に入り、磁性研究の道に進んだのです。超伝導を知ったのは更に後のことです。何にでも好奇心を持ち、追いかけ続けることが大事だと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学・研究所等公的機関の教員/研究者、電機メーカー・鉄鋼メーカー・化学メーカーの研究者・技術者

研究室
大学アイコン
吉村 一良 先生がいらっしゃる
京都大学に関心を持ったら

 京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎にして基本理念を定めています。研究面では、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行います。教育面では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成します。

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