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講義No.04067

貝殻の殺菌パワーで食の安全を守る

貝殻で食品を殺菌・抗菌

 食の安全を守るのに、殺菌・抗菌処理は重要です。例えばカット野菜を殺菌する際、主に次亜塩素酸水を用いますが、天然素材を使って殺菌・抗菌できればなお安心でしょう。そうした観点から、「貝殻」の持つ殺菌・抗菌力が大きな注目を集めています。

ウイルスや耐性の強い菌にも効果が

 貝殻は、そのまま川や海に沈めても水質浄化の効果が得られますが、800度以上の高温で焼く(焼成)と、主成分の炭酸カルシウムから二酸化炭素が分離し、酸化カルシウムに変化します。この焼成貝殻はアルカリ性の力が強く、殺菌効果もきわめて強力です。大腸菌やO-157、黄色ブドウ球菌、カビなど、基本的にどんな菌にも効くうえ、ノロウイルスやインフルエンザなどのウイルスにも効果があります。
 加えて、100度以上の高温でも殺菌しにくい芽胞(胞子)も、焼成貝殻を用いれば常温で殺菌できます。また、菌は何かに付着してバイオフィルムという菌膜を形成することで、熱や抗菌剤への強い耐性が出ますが、その場合の殺菌効果も高いという実験結果が出ています。

循環型でエコにも配慮

 このほかにも、焼成貝殻は、脱臭剤に用いたり、壁材に混ぜてホルムアルデヒド(刺激臭のある気体)を吸着分解させたり、洗濯洗剤に混ぜて洗浄力を上げるなど、さまざまな場面での活用が可能です。さらに言うなら、使用した液を水に流せば排水路まで浄化され、そのまま川に流しても生態系を壊すことなく海に戻るという、循環型でエコに配慮したユニークな抗菌剤なのです。実際、北海道や青森などホタテの産地では、年間30万トンもの貝殻が公害問題になっていますが、抗菌剤として使用すれば安全に海に返すことができます。
 殺菌に万能薬はありません。貝殻のように安全で信頼できるものを数多く見つけ、それらを組み合わせることで、総合的に食の安全を高めていくことが肝要です。社会の高齢化にともない、免疫力の弱い人も増加している現代、安全性の高い抗菌技術のさらなる開発が求められています。

食の大前提=安全を守る貝殻の性質と利用法

夢ナビライブ2018 東京会場

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環境を大事に!貝殻利用研究のコンセプト

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微生物制御技術のいま

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想像以上!?貝殻の殺菌効果

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 食品衛生学、微生物制御学

神奈川工科大学
応用バイオ科学部 栄養生命科学科 教授
澤井 淳 先生

先生の著書
メッセージ

 食品衛生学というのは総合的な学問です。生物や化学、物理、数学など、求められる知識も幅広いので、高校では苦手意識を持たずに、どの分野にも興味を向けてみましょう。見方を変えれば、これらの分野のどれかを好きなら、誰にでも挑戦できる学問だとも言えます。例えば数学が得意なら予測微生物学など、食品衛生の中でも数学的な研究を行う分野に進むこともできます。また、私たちの日常に欠かせない「食」の安全を守るという、非常にやりがいのある学問でもあるのです。

先生の学問へのきっかけ

 私は、もともと工学部の出身で、大学4年生のときには「乾燥」や「分離」などを専門にする研究室を選びました。そんな中でセラミックスから出てくる加熱光線である遠赤外線が食品の保存に有効であることがわかり、「食品の保存と殺菌」というテーマに出会いました。そして研究をすすめていたとき、「貝殻」にも同じような殺菌効果を発見しました。ホタテの貝殻は、生産地では悪臭や地下水汚染を引き起こして問題となっていますが、加熱処理をすれば、一転、有効な「資源」となり、多くの素晴らしい機能をもっていることがわかったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社商品開発、食品会社品質管理、食品会社製造、衛生管理会社研究員、衛生管理会社衛生管理、ドラッグストア管理栄養士、介護施設管理栄養士、製薬会社商品開発、医療機器製造製造会社分析精度管理、検査会社管理保全

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澤井 淳 先生がいらっしゃる
神奈川工科大学に関心を持ったら

 『一人ひとりの力を引き出し、問題発見・解決能力を育成します』をスローガンに、“力と自信がつく教育”を実践する神奈川工科大学。学びの内容の充実を図り、改革を続け、2010年4月には科学的素養を持つ管理栄養士の養成をめざす「栄養生命科学科」(管理栄養士養成課程)を開設。また、2006年より3ヵ年計画で進めてきたキャンパス再開発事業も完成し、教育・研究・学生サービスの施設・設備を整えた、快適な学びの環境を提供する新しいキャンパスに生まれ変わりました。

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