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講義No.04035

医療技術の進歩にも大貢献している超伝導技術

マイナス269度の世界

 一般的に金属は、温度を下げると電気をよく通すようになります。では、温度をどんどん下げていけばどうなるのでしょうか。絶対零度(-273.15℃)に近づければ電気抵抗もゼロに近づくと予想されていました。1911年、オランダの物理学者カメルリング・オネスが、液体ヘリウムを使って水銀を冷やしたところ、絶対温度4.2度(摂氏マイナス269度)で電気抵抗が突然ゼロになることを発見しました。これが世界で初めて超伝導現象が確認された瞬間です。

電気抵抗ゼロを何に活用するか

 超伝導状態では電気抵抗はゼロ、つまり大きな電流を流してもまったく抵抗がないため、発熱することはありません。この特性を応用すれば、強力な電磁石(超伝導磁石)を作ることができます。
 一方、超伝導になる温度が高ければ高いほど、容易に超伝導状態を作り出すことができます。そこで次の研究対象となったのが、より高い温度で超伝導を起こす物質の探索です。研究の結果、ニオブとスズの化合物ニオブ3スズなら、絶対温度20度ぐらいで超伝導状態になることが明らかになりました。液体ヘリウムの中で冷やして超伝導状態にしたニオブ3スズをコイル状に巻き、電気を流してできる強力な超伝導磁石は、医学をも大きく進歩させました。

超伝導を活用したMRI

 超伝導磁石でできた筒の中に人が入り、磁気の力で体内の臓器や血管を撮影する装置がMRI(磁気共鳴映像法)です。磁力が強ければ強いほど、分解能が上がり、細部までが鮮明に写ります。超伝導を活用した最新式のMRIなら、がん細胞も細かくチェックできます。
 現状のMRIは、液体ヘリウムを使って超低温を維持していますが、今後の課題は、より高い温度で超伝導を起こす物質を活用することです。銅酸化物なら、最高絶対温度160度ぐらいで超伝導を起こすことがわかっていますので液体窒素温度(-196度)で超伝導体として使えますが、現状ではこの物質はもろいためにケーブルとして使うことができません。新たな研究が待たれるところです。

先端科学技術を支える材料開発と物性評価

夢ナビライブ2018 仙台会場

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超伝導の発見

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この学問が向いているかも 無機化学、物理化学、物性科学

京都大学
理学部 化学教室 教授
吉村 一良 先生

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メッセージ

 京都大学の理学部の特長は「緩やかな専門化」です。最初はみんな理学部理学科で始まり、化学を専攻したとしても、後に物理や生物の研究に進むこともできます。ですから、とにかく物質に興味があるというあなたは、まず化学を選択してみるのはどうでしょう。化学は、実に幅広い学問分野につながっています。まだわからないことがとても多く、化学反応の可能性などは無限に広がっています。そして、もし常温超伝導体の合成に成功すれば、送電効率が飛躍的に上がって大幅な省エネになるなど、化学は実社会にも貢献できる学問分野なのです。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から磁石に強い興味を持っていました。なぜ磁石は引き合うのか。なぜ方位磁石はいつも北を指しているのか。それがどういう原理なのだろうと本当に不思議で、いつになったら答えがわかるのだろうと、中学・高校の理科の授業が楽しみでした。でも結局その疑問に答えてくれたのは、大学の専門課程での「磁性物理学」の講義でした。それがもとで、その講義を担当していた私の恩師の研究室に入り、磁性研究の道に進んだのです。超伝導を知ったのは更に後のことです。何にでも好奇心を持ち、追いかけ続けることが大事だと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学・研究所等公的機関の教員/研究者、電機メーカー・鉄鋼メーカー・化学メーカーの研究者・技術者

研究室
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吉村 一良 先生がいらっしゃる
京都大学に関心を持ったら

 7月20日(土)開催の大学研究&学問発見のための国公私立大 合同進学ガイダンス「夢ナビライブ2019名古屋会場」と7月24日(水)の「夢ナビライブ2019大阪会場」で、吉村一良先生が【先端科学技術を支える材料開発と物性評価】というタイトルの講義ライブを実施! ぜひご来場ください! 詳しい情報は
 https://yumenavi.info/live/(パソコン、スマホ、ケータイ共通)をご覧ください。

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