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講義No.04033

固いセラミックスを、超塑性現象を活用してふっくらとふくらませる

人類最初の道具、セラミックスの欠点

 人類の三大材料と言えば、金属、プラスチックとセラミックス(粘土を焼いたもの)で、中でも最も古くから使われてきた材料がセラミックスです。石器や土器を作っていた時代には、熱を与えて作る材料はセラミックスだけでした。ただセラミックスは、思うような形に加工することが難しく、もろいのが欠点です。そのためやがて青銅器や鉄器に取って代えられました。
 その後はさびない特長を生かして、花瓶などの装飾用に使われるようになります。ところが1980年代の初めに、いわゆる「ファインセラミックス」が開発されて用途が一変しました。

超伝導と超塑性、セラミックスの特長

 従来のセラミックスの組成や組織、形状、製造工程を精密に制御し、新しい機能や特性をもたせたファインセラミックスは、IC(集積回路)の基板や医療用器具などまったく新しい用途に使われるようになります。1986年には「セラミックス超伝導体」が発見され、これは絶対温度100度(摂氏-173度)ぐらいで超伝導を起こすため、今後の応用が期待されています。
 超伝導と同時に発見されたのが超塑性(素材が伸びる性質)です。セラミックスは硬さがメリットである一方、硬さのために思うように加工できません。金属は「打ち出し」「引き伸ばし」などの加工ができるのに、セラミックスは無理と考えられていたのです。しかし、超塑性が見つかり、セラミックスも形状を加工できる可能性が出てきました。

ガスを使って内側からふくらませる

 セラミックスに1400度程の高温で力をかけると、引き伸ばすことができます。この性質を利用して開発されたのが、セラミックスの内部でガスを発生させ、その圧力でカタチを変えるやり方です。
 具体的には炭化ケイ素(SiC)の粉を入れてセラミックスを焼き上げます。セラミックスが固まると内部には酸素が供給されなくなり、炭化ケイ素が酸化ケイ素(SiO)のガスに変わるのです。このガス圧を使い、セラミックスをふくらませて加工できるようになったのです。


この学問が向いているかも 無機材料科学、物性化学

岡山大学
工学部 化学・生命系 教授
岸本 昭 先生

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メッセージ

 工学系で進路に迷っている人には、まず化学を勧めます。物理は高校と大学では内容が大きく異なり、大学の物理は数学的な要素が強くなります。ちなみに大学での数学は、まるで哲学です。そんな中で、もっとも幅が広く親しみやすいのが化学でしょう。化学生命系学科の研究室のよいところは、考える時間がたっぷりあることです。実験で使う電気炉は、夜スイッチを入れれば、朝には材料が焼き上がっているという優れものです。時間にゆとりがあるのを生かして、いろいろなことをしっかり考えてください。

先生の学問へのきっかけ

 大学は物理分野に進もうと考えていましたが、高校と大学以降では理科の分野で数式の取り扱いが異なると知りました。「高校の数学が大学では物理」で、「高校の物理が大学では化学」なのです。大学の数学は皆さんが考えている哲学です。大学での化学の分野は広く、物理が好きな人ばかりでなく、生物が好きな人でも興味のある分野を見つけられます。セラミックスを専門に選んだ時は、セラミックスフィーバーの時代でした。スペースシャトルの外壁材に使われ、セラミックス超伝導体はエネルギー革命を起こすと言われていたのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

電子材料会社素材研究、ファインセラミックス企業製品開発、鉄鋼会社表面処理業務、耐火物企業品質管理、官公庁産業振興

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岸本 昭 先生がいらっしゃる
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 岡山大学は、これまでの高度な研究活動の成果を基礎として、学生が主体的に“知の創成”に参画し得る能力を涵養するとともに、学生同士や教職員との密接な対話や議論を通じて、個々人が豊かな人間性を醸成できるように支援し、国内外の幅広い分野において中核的に活躍し得る高い総合的能力と人格を備えた人材の育成を目的とした教育を行います。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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