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講義No.04008

筋ジストロフィーを治す、「リードスルー」という方法

筋ジストロフィーとは?

 「筋ジストロフィー」とは、徐々に筋肉が破壊されていく病気です。中でもデュシェンヌ型筋ジストロフィーは新生男児3500人あたりに1人という高い確率で発症します。発症者の3分の2は遺伝によるものですが、あとの3分の1は遺伝関係がなく、突然変異による遺伝子の異常が原因だと言われています。現在世界中で治療法の研究が行われています。

原因遺伝子の発見

 デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因遺伝子は、1987年、米ハーバード大学のクンケル博士によって明らかにされました。X染色体上のある場所の遺伝子に異常が生じたために、この遺伝子にコードされてできるタンパク質ジストロフィンが欠損し、筋ジストロフィーを発症することを突き止めたのです。ジストロフィンは細胞膜の直下に存在する大きな棒状のタンパク質で、細胞と細胞外をつなぐビス(ねじ)の役割を果たしています。そのビスがないために細胞がとても壊れやすくなり、頻繁に起きる筋変性に比べ、筋細胞の再生能力が追いつかなくなって起きるのが筋ジストロフィーなのです。
 つまり、ジストロフィンが正常に作られるようになれば、筋ジストロフィーを治すことができるのです。

「リードスルー」という方法

 ジストロフィンを正常に作らせるために、さまざまな治療方法が世界中で研究されています。そのひとつが「リードスルー」です。X染色体上でたったひとつの塩基配列の突然変異によってその先すべてが翻訳されなくなリ、ジストロフィンが欠損する場合があります。この突然変異(ナンセンス突然変異)を「読み超え(リードスルー)」させ、その先の遺伝子を正常に翻訳できれば、ジストロフィンは作れるはずという考え方です。まだ実用化には至っていませんが、確実に研究は進んでいます。
 筋ジストロフィーにおける「リードスルー療法」が成功すれば、筋ジストロフィーを治すことはもちろん、ほかの遺伝子のナンセンス突然変異による病気の治療にも大きな貢献ができることでしょう。


この学問が向いているかも 生物学、医学、薬学

東京大学
教養学部 生物部会 広域科学専攻 准教授
松田 良一 先生

メッセージ

 寺の一人息子だった私は、僧になって寺を継ぐことを、生まれたときから期待されてきました。自分の進む道を強制されるのはつらいことです。高校生のあなたには、自分の好きな道、好きな分野を見つけ、そこへ進むことを恐れないでほしいと思います。自分で選んだ道ならば、たとえ思ったとおりにはいかなくても、また道半ばとなったとしても、幸せであるはずです。ぜひ、そういう生き方を貫いてほしいと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

カナダの大学助教授、抗生物質の開発研究者、東大生物学教員、米国の大学の生物学研究者、弁護士、知財系の弁護士、米国の医師、医師、高校生物教員、金融コンサルタント、経済産業省係長、カメラメーカーの研究者、医療新聞の記者、製薬会社販売促進、食品会社研究員

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