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講義No.03880

幅広い分野とコラボすることで、遺伝子研究はさらに発展する

淀君も愛でたミヤコグサ

 ミヤコグサを知っていますか? 黄色い花を咲かせるマメ科の植物で、北は北海道から、南は沖縄まで日本中のあちこちで見られる雑草です。このミヤコグサは遺伝子の配列が明らかになっているため、マメ科の植物の研究に適し、モデル植物として使われます。背丈が低い多年草で、早く花が咲いて種がとりやすい点も研究にぴったりです。ミヤコグサの祖先は、中国の雲南省あたりから中央アジアに居たのですが、ヨーロッパへ伝わっていったものが西洋ミヤコグサへと進化し、日本にきたものがミヤコグサへと進化してきました。古くは淀君(秀吉の側室)が好んだ花と言われています。

連続的に分布するが例外もある

 日本の野生ミヤコグサは各地に分布していますが、遺伝子を調べてみると、ほんの少しずつ異なっています。普通は、近隣の地域のものほど似ていて、例えば、近畿のミヤコグサは、地理的に近い中部や中国地方のものなどとほとんど同じになります。ところが、中には、山陰や北陸、北海道と、連続しない地域で非常に似たものが見つかります。人は通常、食べることもできないミヤコグサをわざわざ運んだりしませんから、荷物などに偶然くっついて運ばれたと考えられます。このようなミヤコグサの分布を調べることで、昔の人の動きや移動の経路がわかると期待されています。ミヤコグサは根粒菌という、窒素ガスを利用できる細菌と共存しており、この菌の移動も調べることができます。根粒菌は人に無害な細菌なので、安全に調べられるのです。伝播(でんぱ)の様子がわかると、インフルエンザなどの病原体などの感染ルートの予測に役立つかもしれません。

理系、文系の枠を越えて、研究を進める

 ミヤコグサの遺伝子の分析など、ゲノム(細胞中のDNAの総体)の解析は進歩が早く、さまざまな研究に生かせるようになりました。遺伝子を歴史や文化、社会学などほかの分野の視点で見ることで、さらに実用的な技術や知識を得られるかもしれません。遺伝子研究はまだまだいろいろな可能性を秘めています。


この学問が向いているかも 生物学

奈良女子大学
理学部 化学生物環境学科 教授
佐伯 和彦 先生

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メッセージ

 理学部では、技術だけを習得してもすぐに古くなります。例えば私の学生時代、DNA配列を決めるというだけでも最先端の学問になりました。ところが、20年足らずの間にそれは簡単にできるようになり、もはや単なる技術で、サイエンスとは言えません。理学部の研究スタイルは、技術を直接利用するというよりも、その仕組みを理解すること、つまり原理を理解し、方向性を見つける点にあります。このような考え方を身につけようというマインドがあるなら、ぜひあなたも一緒に学びましょう。

先生の学問へのきっかけ

 高校生の時には宇宙物理学や宇宙論という「かっこいい」研究の道に進もうと考えていましたが、宇宙という大きくて複雑な理論の世界から、自分の手で直接実験するもう少し小さな世界に興味が移っていきました。そして、生物の仕組みや生物の間の相互作用の仕組みを研究しようと考えました。「なぜ生物にひかれていったのか?」今から考えると、中学3年生の夏に、熱心な教師に誘われ、友人と一緒に泊まり込みで、ウニの細胞分裂の実験を行ったことが、この道に進むきっかけになりました。

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※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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