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講義No.03830

英語と日本語、言葉の違いの裏側にある「考え方の違い」

個別性に注目する英語、関係性で考える日本語

 一枚の絵を見せて、描かれていたものを答えさせるというテストをすると、欧米と日本の学生に明らかな違いが出ます。絵の中に何が描かれていたかと個別のものを問うと、正答率が高いのは欧米です。一方で○○と△△はどちらが上にあったかと関係性を答えさせると、日本の学生のほうが優れていました。
 物事のとらえ方の違いは、言葉にも表れています。英語で一人称単数の主語は、どんなときでも「I」です。ところが「I」を訳せば、私、僕、おれ、わし、あたいから、ママやおじいちゃんなどさまざまなケースがあり得ます。日本語は、相手との関係性によって主語を使い分けるのです。

知らない間に思考に枠をはめる言葉の力

 「作家」という言葉があります。ところが作家が女性の場合、わざわざ女流作家と言い換えるケースがあります。なぜでしょうか。「作家=男性」ととらえる暗黙の前提があるからです。
 「もうすぐ弁護士の先生がいらっしゃいます」と告げられ、女性弁護士が登場したときに違和感を覚える人がいるのも同じことで、専門的な職業は男性がなるものと考える文化が背景にあるのです。作家にも弁護士にも、言葉自体に性別を表す要素は含まれていません。しかし、言葉には、その社会や文化による色づけがなされているのです。

違いに心を開く―そこから国際理解は始まる

 ことわざの「出る杭は打たれる」が表すのは、何ごとも控えめを良しとする日本的な価値観でしょう。ところが英語では「The squeaky wheel gets the oil:きしむ車輪は油を差してもらえる」といって、自己主張して初めて何かを手にいれられると考えます。黙っている人は、自分の考えがない人とみなされるのです。
 どちらが正しいとか、間違っているという問題ではありません。大切なのは、言葉の背景となる文化により、前提に違いがあるのだと理解することで、何かを考えるときには、自分の思考がどんな前提条件に制限を受けているのかをいつも問い直すことができる柔軟性です。


この学問が向いているかも 教育学、社会言語学

関西外国語大学
外国語学部 英米語学科 准教授
朴 育美 先生

メッセージ

 高校時代には何か一つ、夢中になれることをぜひ見つけてください。それに情熱の限りをぶつけて、集中して取り組んでほしいと思います。そうやって一つのことに全力を注いだ経験は、大学での学びに必ず生きてきます。かといって、そのテーマは何もスポーツや勉強、音楽などに限る必要はまったくありません。極端な話、空想の世界で自由に心を遊ばせてきた経験でもいいのです。ありのままの自分に自信を持って、いろいろなことにチャレンジし、自分らしさに磨きをかけていってください。

先生の学問へのきっかけ

 あなたは「自分が何者であるのか」と考えたことがありますか? その問いかけは、すべての学問に結びついています。私自身は「言語」の勉強を通じてその問いの答えを導き出したいと思うようになりました。語学を勉強するということは、その言語が話されている国の時代背景を学ぶことになります。つまり、まったく違う空間に身を置く、ということと同じなのです。それはとても新鮮な経験です。また、社会学や哲学など、すべての学問の根底に「言語」は存在しているのです。

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朴 育美 先生がいらっしゃる
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 「国際社会に貢献する豊かな教養を備えた人材の育成」と「公正な世界観に基づき、時代と社会の要請に応えていく実学」を建学の理念とし、国際社会で活躍できる人材の育成を行っています。世界55カ国・地域393大学と協定を結び、年間約1650人の学生が留学を実現しています。留学中の費用をサポートするスカラシップの制度も大変充実しています。
 なお、学内には約30カ国から年間約750名の外国人留学生を受け入れ、学内でさまざまな国際交流プログラムを提供しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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