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講義No.03811

新幹線のスピードアップと環境を両立させる騒音対策

空気の流れの変動が騒音となる

 日本の新幹線は、そのスピードや安全性、信頼性だけでなく、環境への対策でも世界一と言えます。環境対策の最大のテーマは騒音です。高速で走る乗り物から発生する騒音は、乗り物の周りの空気の流れの変動が振動となって起こるものです。速度が速いと空気の変動も大きくなり、大きな音が出ます。例えば、飛行機は速度が速いため周りの空気の流れの変動が大きくなり、飛行機の騒音問題はなかなか解決しないのです。こうした空気の流れと音の関係を「流体音響学」と言います。新幹線の騒音対策も、その理論に基づくものです。

新幹線の騒音の約80%は空気が流れる音

 新幹線の騒音でもっとも大きなものは、トンネルに突入したときの「微気圧波」と呼ばれる低周波の衝撃音ですが、ここでは新幹線がトンネル以外の「あかり区間」を走行しているときに出す騒音について見ていきます。これは大きく4つに分類できます。1つ目は、車輪などから出てくる機械音。2つ目は、パンタグラフ(集電装置)のスパーク音などの電気的な音。3つ目がパンタグラフのすり板から出るシューッという音。そして4つ目が、ザーッという空気音・空力音で、速度の3乗以上で比例して大きくなります。新幹線の騒音の約80%は空気が流れる音であり、これをいかに制御するかが重要なのです。

騒音対策のいちばんはパンタグラフ

 空気音・空力音で、もっとも大きなものはパンタグラフの周りに発生する音です。そのために、部材に穴を設けたり、パンタグラフの横に防音板をつけるなど、さまざまな工夫がなされています。ポイントは、空気の流れの渦(変動)を作らないようにすることです。また渦を小さくし、渦の波形が揃わないようにすることも効果的です。例えば300km/hで走行する新幹線N700系では、パンタグラフの前に三角形のはね上げ板をつけて、パンタグラフに当たる空気の速度を落としています。
 新幹線にはスピードだけでなく、環境にやさしい快適な乗り物にするための地道な努力が続けられているのです。

参考資料
1:新幹線パンタグラフから発生する空力騒音研究のための低騒音風洞

この学問が向いているかも 流体力学、流体音響学、音響学

九州大学
工学部 エネルギー科学科 教授
青木 俊之 先生

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メッセージ

 現在、私は「空気の流れ」と「音」の研究をしていますが、その前は機械工学でいろいろなことを研究してきました。しかし、昔から音は好きでした。好きだから、空気の流れと音の関連に興味を持って研究できるのです。今やっていることに何ひとつ無駄はありません。小学生の頃から鉄道が好きだった私に、JRから新幹線の騒音対策の共同研究の話が来たのも必然かもしれません。なんでも興味を持って取り組んでいれば、いつか結びつきます。若いあなたにはいろいろな好奇心があるはずです。たくさんのことにチャレンジしてください。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から鉄道が好きで、鉄道模型を欲しがったりしたものです。中学生の時には真空管のラジオを作り、高校生になるとステレオアンプを作ってレコードを聴いていました。
 大学の学部を選ぶ時には、電気か機械か悩みましたが、機械を選びました。たぶん、ものを作りかったのだと思います。大学では機械工学科で機械力学、熱力学、流体力学、材料力学などを研究してきました。

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 九州大学は、教育においては、世界の人々から支持される高等教育を推進し、広く世界において指導的な役割を果たし活躍する人材を輩出し、世界の発展に貢献することを目指しています。また、研究においては、人類が長きにわたって遂行してきた真理探求とそこに結実した人間的叡知を尊び、これを将来に伝えていきます。さらに、諸々の学問における伝統を基盤として新しい展望を開き、世界に誇り得る先進的な知的成果を産み出してゆくことを自らの使命として定めています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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