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講義No.03778

スポーツを読み解く~日本型野球の向こうにみえるもの~

日本にベースボールがやってきた!

 スポーツの多くは外国から伝播した外来文化です。明治時代に日本へ入ってきたスポーツの一つが、アメリカのベースボールです。ベースボールは、将来の日本を担うエリート学生たちに紹介されました。やがて日本全国へと広まっていきますが、その扱い方には明治という時代背景が大きく影響していたのです。

心身を鍛える武士道に通じる

 明治時代の日本では、国をより強く大きくしようと富国強兵政策が採られ、日清・日露戦争を経験しました。そんな時代に国の将来を担う若者たちが野球にのめり込んでいたら、世間から「遊んでいる場合ではない」という指摘を受けかねませんでした。そこで彼らは、自分たちが楽しいから野球をするという「私的正当性」を、武士道の精神を用いた「公的正当性」に転化したのです。つまり、「心身を鍛えるために野球をやっている」ということにしたのです。それが受け入れられたのは、ピッチャーとバッターが1対1で対峙する姿が、武道の真剣勝負に通じるものがあったからでしょう。ここから「一球入魂」という言葉や、「礼に始まり礼に終わる」という高校野球の試合スタイルなどが生まれたと考えられています。

野球を通じて価値観をしみ込ませる

 また、明治時代には「徴兵制」により、満20歳の男子には兵役義務がありました。兵士に求められるのは、上官への絶対服従です。兵士が自ら考え、思い思いに行動しては、上官は扱いにくくて仕方ありません。上官の指示を疑うことなく従う、そんな精神構造の若者を当時の国家は必要としていました。野球は基本的には監督のサインに従って選手がプレーする「指示型スポーツ」です。兵士に求められる考え方や価値観を、野球を通して身体にしみ込ませようとしたのです。
 日本の野球は、明治という時代に入ってきたからこそ、このような展開をみせ、現在では大人から子どもまでが熱狂する国民的な人気スポーツへと発展しました。歴史を通じてスポーツを読み解けば、当時の社会や現代社会との関係性が鮮明にみえてくるのです。

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この学問が向いているかも スポーツ社会学、スポーツ文化論

京都精華大学
人文学部 総合人文学科 教授
栗巣 満 先生

メッセージ

 スポーツをプレーするだけではなく、「視る」という意識を大切にしてほしいと思います。「みる」には、「見る」「観る」という字もありますが、私はスポーツを「視る」ことを勧めます。「視る」とは考えること、問うことです。高校時代にスポーツに打ち込むことは良いことですが、大学生になったら、あなたの好きなスポーツを「視て」みませんか? 日々打ち込む中で疑問に感じることもあったかもしれません。それを放っておかないできちんと考えてみる、そんな「知的好奇心」と「知的持久力」を鍛えていきましょう。

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