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講義No.03713

産業用ロボット、その開発のカギは職人の動きをつかむこと

職人の手技は難しい

 産業用ロボットの目的とは、これまで人がやっていた作業を自動化することです。ですから、産業用ロボットは人の腕をモデルにできています。腕と同じ動きができるように3次元、つまり座標軸XYZの3方向に自由自在に動きます。さらに、回したり傾けたりできるように、人間の関節にあたる「軸」が合計6つあります。
 ここで課題となるのが、人の動きを正確に再現することです。特に難しいのが、いわゆる「ベテランの職人の動き」です。

力の入れ加減や、当て方はどうなっているのか

 例えば「鍛金(たんきん)加工」という、鉄などの板をハンマーで叩き、型を作り出す作業について考えてみましょう。職人はハンマーを何気なくふるって、鉄に叩きつけているかのように見えます。しかし、その動きをロボットに再現させるためには、どの位置に、どんな角度で、どれぐらいの力を込めて叩いているのかを知る必要があります。最初から最後まで同じだけの力を込めて叩いているのか、ハンマーが当たった瞬間に力を抜いているのか、あるいは当たってからさらに力を入れるのか、などの違いがあるでしょう。
 もちろん職人の手技には理由があるはずです。ところが職人に尋ねても、返ってくる答えは「こういうものだから」ぐらいで、データが取れるような正確な力加減はなかなかわかりません。

作業の本質を見極めて、数値化する

 データを取るために残された手段は、職人の作業風景を観察することです。職人のさまざまな動きを見て、6つの軸で考えたときにどのようになっているのかを見極めます。さらに計測装置を使って、例えば叩くときの力の強さを測定します。こうして職人の動きを、いろいろな数値に置き換えていくのです。
 コンピュータを使い、これらのデータで産業用ロボットに動きを覚えさせます。センサーをつけて、それぞれの動きが正しく行われているかどうかを検証し、修正をかけていきます。世界でもトップレベルにある日本の産業用ロボットの精密さは、こうした緻密な技術が支えているのです。


この学問が向いているかも 機械工学、ロボット工学

金沢大学
理工学域 機械工学系 教授
浅川 直紀 先生

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メッセージ

 日本はモノづくりで生きている国です。材料を仕入れ、加工し付加価値をつけて、輸出してお金を稼ぐというように、国を豊かにする決め手は、モノづくりなのです。あなたが今後の人生を考えるとき、モノづくりの能力を身につければ、大きな強みとなるはずです。モノづくりは世界共通ですから、その能力があれば海外に活躍の場を求めることもできます。日本の技術力を伸ばすために、世界で勝負できる本物のモノづくりの技術を身につけてください。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃から機械が好きで、将来は理系に進もうと思っていました。大学4年生の時に研究室に入り、なんでも作れる環境を手に入れたのです。そこで、研究生活を一年で終えて卒業するのはもったいないと感じて大学院への進学を決めました。そこで超精密な機械装置を作り、その後ロボットを使い始めたことが現在の研究につながっています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

機械メーカー開発/自動車メーカー生産設計/電機メーカー生産設計/文具メーカー生産設計/材料メーカー生産設計/工具メーカー設計/楽器メーカー生産設計/ゲームメーカー設計生産/大学教員/高専教員/公務員

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浅川 直紀 先生がいらっしゃる
金沢大学に関心を持ったら

 金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。

※夢ナビ講義はそれぞれの先生の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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