夢ナビWebセレクション

の教員による講義

関心ワード
  • 胃潰瘍、
  • 微生物、
  • 細菌・バクテリア、
  • ナノメートル、
  • 胃がん、
  • ピロリ菌、
  • 予防、
  • 感染、

ナノスケールの物質輸送システムが「ピロリ菌」退治の鍵を握る!?

想像以上に悪事を働く微生物・ピロリ菌

 「ピロリ菌」、一度聞いたらその名前は忘れないでしょう。ピロリ菌は正式名を「ヘリコバクター・ピロリ」といい、これはピロリ菌に4~8本のシッポがあり、それをヘリコプターのように回転させて移動することから「ヘリコバクター」と命名されました。「ピロリ」はラテン語読みで、「幽門」という意味です。ピロリ菌の発見は1983年と新しく、胃の中にすみつく菌として有名です。ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍だけではなく、胃がんやMALTリンパ腫などの発生につながることが報告されています。

ピロリ菌が悪さをするメカニズムの解明が重要

 ピロリ菌は、強酸性の胃の中に適応し、図太く生きています。日本では40歳以上の約70%の人がこの細菌に感染しているとされ、胃潰瘍の患者では感染率は90%にも及びます。胃潰瘍は一度よくなっても再発率の高い病気ですが、胃の中のピロリ菌を除去すれば再発率は大幅に減少します。しかし、薬を飲むのを途中でやめてしまうと、薬に対する耐性ができるなど、なかなか一筋縄ではいきません。そこでピロリ菌がどうやって悪さをするのか、そのメカニズムの究明が重要課題となっています。

ナノ輸送システムで毒素が運ばれる?

 これまでの研究で、ピロリ菌から出る「注射針」のようなものが胃の粘膜にペタッとくっついて悪さを働く物質を注入し、疾患を起こすことがわかってきました。では、菌の中にある毒素は、どうやってその「注射針」のところに集まってくるのでしょう。約2~4マイクロメートルのピロリ菌の中の、繊維のレール状のものに有害物質の分子が乗って、「注射針」のところに運ばれるのではないかと考えられています。これは「ナノ輸送システム」と呼ばれるもので、ナノメートルの世界で行われる生体細胞内の物質輸送メカニズムです。これが解明できれば、悪さをする前に先手を打って病気予防ができます。ナノ世界の物流システムの研究が、胃の病気を画期的に減らすかもしれません。

この学問が向いているかも 微生物学、医学


医学部 医学科 微生物学教室 教授
中野 隆史 先生

先生の他の講義を見る
メッセージ

 微生物学研究は、医学の中では一般にあまりなじみのないものかもしれません。ずっと研究室の中で顕微鏡をのぞいて研究をしているイメージでしょうか。しかし、微生物学研究には臨床の現場も非常に大事です。患者さんのそれぞれの苦痛や悩みを直接聞くことにより、なんとか病気を治したいという思いが新たな研究のモチベーションとなります。医療現場で日々実際に起こっていることを知り問題意識を持つことと、それを解決するための研究理論の両輪が組み合わさって初めて、明日への医学の進歩があるのです。

先生の学問へのきっかけ

 小学生の頃、なりたかった職業は、1位:パイロット、2位:医者でした。パイロットは格好いい、医者は人の役に立てる仕事というイメージでした。医学の道に進んだのは、野口英世の本を読んで細菌の存在を知り、高校生のときに顕微鏡でゾウリムシを見て、微生物に興味がわいたことがきっかけでした。手術で一人ひとりの命を助ける医者も必要だけど、微生物を利用して薬を作らせる「バイオテクノロジー」による治療法の開発ができれば、何百万人の命を同時に救うことができると思い、研究医になろうと決意したのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

病院やクリニックで働く臨床医、医師や医療職を養成する大学等で教える教員、国や地方公共団体の保健衛生関連職(医療政策などを担当する)や医療専門職(検疫所や保健所・衛生研究所等で働く医師。検疫所長や保健所長は医師しかなれません)、大きな会社の専従産業医(働く人々の健康を守る仕事)、監察医や法医学教室の医師(死体しか診ない医者)、途上国でエイズやマラリア対策をする医療専門家、政治家(衆議院議員など)、作家、タレント などなど

TOPへもどる

夢ナビロゴ

夢ナビ編集部copyright(c) 2008- Frompage Co.,Ltd. All Rights Reserved.