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講義No.03467

「1+1=0」になる二元体の多項式はどのように計算するか

あり得ないことがあり得る高等数学の世界

 高等数学では、一見あり得ない世界が、きちんと定義づけすることによって成立することがあります。例えば、「1+1=0」とする世界もその一つです。この世界は1と0しか数字のない世界、つまり二元体なのです。「0+0」は「0」、「0+1」と「1+0」は「1」なのは普通の足し算と同じですが、「1+1=2」としてしまうと、「1と0しかない世界」という約束からはみ出してしまいます。
 そこで、「1+1=0」と定義するのです。これは移項すると「1=-1」ということも成り立ちます。なんだか頭が混乱してしまうような世界ですが、高等数学の世界ではあり得る世界なのです。

多項式の計算

 ここで、上記の世界での多項式を考えてみましょう。つまり、係数が0か1の多項式です。変数をtと表すと、通常の多項式と同じように計算できます。例えば、
 (t+1)×(t+1)は、普通の計算と同じように分配して
 t(t+1)+1(t+1)となり、
 tの2乗+t+t+1となります。
 しかし、定義によって2は存在しない世界なので、「t+t」は「2t」ではなく「0t」となるので、これは消えてしまいます。よって、
 tの2乗+1となります。
 なお、2がない世界でも、次数には2やそれ以上があると定義します。マイナスの次数もあります。

筆算も簡単にできる「t進位どり」

 また、例えば「t³+t²+1」という式があった場合は、係数だけを取り出して「1101(t⁰はないので0となる)」と表す方法があります。この表現方法を「t進位どり」と言います。この方法で、掛け算や割り算の筆算をすることも可能です。ただし、それぞれの桁(けた)は次数が違うので、繰り上がりや繰り下がりはありません。この点が二進法の計算と違うところです。
 この数の世界は、コンピュータでデータをやり取りする場合の暗号化や遺伝子研究などに使われています。

参考資料
1:1 + 1 = 0の世界での代数・幾何・応用

この学問が向いているかも 数学、代数学、情報科学、情報工学

広島大学
理学部 数学科 教授
松本 眞 先生

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メッセージ

 国語は普通ならわかるはずのない第三者人の気持ちを問います。物理の実験も誤差を含んでいます。全く狂いのない唯一の世界が数学です。高校で習う数学は、積分はここまでしか教えない、実数の定義は教えないといったように途中で区切られています。私はその限られた範囲内の難問を解くのが息苦しく、大学に入ってそれまであった壁が取り払われて、すごく自由になりました。もしもあなたが今、高校の数学をつまらないと思っていても、大学の数学では無限の自由な世界が広がるので、けっして数学に幻滅しないでください。

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